地下水を汚染する物質は、広域的に使用されるものもありますが、トリクロロエチレンなどの有機塩素系溶剤は局所的な限定使用です。また、それらは共通する低沸点、揮発性を有し、その汚染現場では地下空気汚染現象(楡井、1989)がみられます。
そこで、地表面付近の地下空気汚染分布を精査することで、汚染物資の地下浸透箇所やその原因行為が推定でき、また、浅層における汚染物質や汚染地下水の移動経路の把握が可能となります。この手法は、1988年に千葉県君津市内箕輪の地質汚染(トリクロロエチレン)現場において、君津市環境部の鈴木喜計氏(現君津システム株式会社社長)、千葉県水質保全研究所の楡井久博士(現NPO法人日本地質汚染審査機構理事長・ 茨城大学名誉教授)らによって開発された手法で、君津式表層汚染調査法と呼ばれています。
調査の手法は、先ず、地表面に人力打撃窄孔器(商品名:ボーリングバー)で窄孔し、深度0.85mの調査孔を開けます。次に、延長管に接続した検知管を孔底まで下ろし、孔内のガス濃度を測定して終了です。
この方法は、安価で簡便ですが精度や再現性に優れ、現場でただちに結果が得られ密度の高い調査が可能であることから、現在、全国の地質汚染現場における必須の基礎調査手法として普及が進んでいます。
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