Q.1
気体検知管は、なぜ色が変わるのですか?
A.1
気体検知管には検知剤(けんちざい)と呼ばれるものが入っています。二酸化炭素の気体検知管では白色の部分、酸素の気体検知管では黒色の部分です。
検知剤は、シリカゲル(お菓子の袋の中の乾燥剤(かんそうざい)などと同じようなもの)などに、調べる気体にふれると色の変わる薬剤(これを検知試薬(けんちしやく)と呼びます)をしみ込ませてあります。そこで、調べる気体が検知管の中を通ると、色が変わるわけです。
チョットくわしくなりますが…
では、なぜ、検知試薬(けんちしやく)の色が変わるのかというと、検知試薬(けんちしやく)に調べる気体がふれると別の性質(せいしつ)のものに変わるからです。
二酸化炭素の気体検知管の検知試薬(けんちしやく)は、二酸化炭素とふれると、白色の性質(せいしつ)から紫色の性質(せいしつ)のものに変わります。
酸素の気体検知管の検知試薬(けんちしやく)は、酸素に触れると、黒色の性質から白色の性質のものに変わります。
その他に酸素や二酸化炭素の気体検知管とは別の方法で色が変わる検知試薬(けんちしやく)もあります。
Q.2
気体検知管は調べる気体の濃度(のうど)で色の変わる長さが違うのはなぜですか?
A.2
気体検知管には検知剤(けんちざい)と呼ばれるものが入っています。
(検知剤については1つ上の質問“気体検知管は、なぜ色が変わるのですか?”を読んでください)
たとえば酸素の検知管についてお話します。
検知管には下の絵のように検知剤(けんちざい)のつぶがつまっています。
測定する時は、気体採取器を使って検知管の中に気体を通します。そして、気体の中の酸素が、検知管の入口から順番に、検知剤(けんちざい)のつぶにくっついていきます。このとき同時に検知剤(けんちざい)のつぶは黒色から白色に変わります。
1列目の検知剤が酸素とくっつき終わると次の列へ、次の列へと検知管の中を進んでいきます。このとき必ず入口から奥へと順番に酸素が検知剤(けんちざい)にくっついていきます。検知管を通した気体の中の酸素がなくなると、それ以上は白くなりません。
酸素の濃度(のうど)が違うということは、気体採取器を使って検知管を通した気体の中の酸素の量が違うということです。酸素がたくさんある場合と、少ししかない場合では、検知剤にくっつく酸素の量が違います。酸素がたくさんある場合は、次から次へと検知剤(けんちざい)にくっついていくので、白くなる長さも長くなります。反対に、酸素が少ししかない場合は、少ししか検知剤(けんちざい)にくっつかないので、白くなる長さも短くなります。ですから、調べる気体の濃度(のうど)で検知管の色の変わる長さが違うわけです。
Q.3
どうして酸素の検知管は、測定中に熱くなるのですか?
A.3
みなさんは冬の寒いときに、使い捨てカイロを使ったことがあると思います。使うときは袋(ふくろ)を開けてからふったりすると、温かくなります。これは、使い捨てカイロの中に空気中の酸素とくっついて熱を出す物質(ぶっしつ)が使われているからです。
酸素の検知管で使われている物質(ぶっしつ)は、酸素とくっついて色が変わりますが、カイロと同じように熱も出します。使い捨てカイロの場合は鉄(てつ)が使われていますが、酸素の検知管ではチタンと言う物質(ぶっしつ)が使われています。
Q.4
「ISO」ってなんですか?
A.4
ISO(アイ・エス・オー)というのは国際標準化機構(こくさいひょうじゅんかきこう)のことです。
英語(International Organization for Standardization)の頭文字ではIOSになりますが、フランス語の頭文字を使って、ISOとよんでいます。
ISOは、スイスのジュネーブに本部があり、1947年にはじめて作られ、日本や多くの国々が参加しています。
ISOの目的は、参加している国々がお互いに協力して国際的なルール作りを行い、関係する活動を活発にして行こうというものです。
このようなルールがなぜ必要かというと、例えばカメラのフィルムを考えてください。このフィルムの大きさや形が国々でバラバラだったらどうなるでしょうか?
海外に行ってフィルムがなくなっても、その国のフィルムが使えないなんてことになりかねません。幸い、皆同じルールにしたがって作られているので何の心配もなく使うことができます。このようにルールを決めてみんなが守れば、どの国で作られたものでも安心して使うことができるわけです。
日本国内でのルールの一つに日本工業規格(にほんこうぎょうきかく JIS:Japanese Industrial Standard)があります。
皆さんが使っているエンピツやシャープペンシルの芯にもJIS(ジス)マークがついていると思います。そしてJISマークがついているHBの鉛筆は、どこの会社が作ったものでも同じこさで書くことが出きるはずです。これは、JISが決めたHBのエンピツを作るためのルールにしたがって、それぞれの会社がHBのエンピツを作っているからで、このルールのおかげでみなさんが安心してエンピツを使えるのです。
ISOもJISと同じように、いろいろな製品やしくみに関するルールを決めています。
Q.5
「ISO9001」ってなんですか?
A.5
ISO9001とは、ISOが定める品質管理(ひんしつかんり)や品質保証(ひんしつほしょう)に関する国際的なきまりです。
品質管理(ひんしつかんり)とはよい製品をむらなく作るための活動で、品質保証(ひんしつほしょう)とはその製品が正しく作られていることをお客様に約束し、しんらい感を持ってもらうための活動といえます。
ISO9001ではその"しくみ(システム)"が定められています。
しくみとは、製品を作ったり、売ったりするための手順や決まりごとのことです。
ISO9001では、会社はISO9001にしたがったしくみを持っているか、また、決められた通りに行われているかどうか、国や世界で認められた組織のしんさを一定の期間ごとに受けなければなりません。しんさで認められた会社は、ISO9001という国際的なルールにしたがったしくみを持ち、その通り行っているので、その会社の製品はしんらいできますよという証明になります。
ガステックも1998年4月にISO9001のしんさを受けて認められています。
Q.6
「JIS」ってなんですか?
A.6
JIS(ジス)とは、日本工業規格(にほんこうぎょうきかく Japanese Industrial Standard)のことで、日本が定めたルールのことです。JISでは多くの分野にわたって約8500の規格が定められています。鉛筆やシャープペンシルの芯などについているJISマークは、企業が勝手に付けているわけではありません。JISマークを付けてもいいという製品が決められていて、そのような製品を作っている企業が、政府のきびしい審査を受け、製品がJISのルールにしたがって作られていて、将来もこのような製品を作りつづける能力があると認められた場合だけJISマークを付けることができます。
ですから、JISマークの付いた製品は、安心して使うことが出きるわけです。
気体検知管にも「検知管式ガス測定器」 JIS K 0804 というJISがあります。ガステックではこのJISに準じて多くの気体検知管を作っています。
Q.7
検知管はいつ発明されたのですか?
A.7
1919年
アメリカのHoover,Lamb博士が一酸化炭素検知管を発明。
炭坑内での一酸化炭素の検知用に開発されましたが、濃度を正確には測れませんでした。
1946年
北川博士が濃度表式検知管を開発。
日本では硫化水素の測定用に開発されましたが、この頃の検知管には目盛が印刷されていませんでした。別に目盛が印刷されたものを物差しのように検知管にあてて濃度を読み取っていました。
1970年
ガステックが国産初の直読式検知管と操作性の良い気体採取器を開発。
ガステックが日本で始めて直接目盛を印刷した検知管を開発しました。
1985年
JIS K 0804 "検知管式ガス測定器"制定。
1992年
文部省小学校学習指導要領(理科編)にとり入れられ、小学校6年理科教科書に掲載され実験で使用される。
ガステックが小学生用の検知管と気体採取器を開発し、全国の小学校で理科の実験に使われるようになりました。
Q.8
検知管はどのような所で使われていますか?
A.8
学校・教育
学習(教材)・実験室・教室の空気汚染他
一番みなさんの身近な所では理科の実験以外に、教室の空気の汚染を調べるのに使っています。もしかするとみなさんの学校の保健室にも検知管があるかもしれません。
家庭
ガス漏れ・不完全燃焼・建材の発生ガス他
みなさんの家でもガスを使っていると思います。料理をしたり、お湯を沸かしたり、または部屋を暖めるのにガスを使っている家もあるでしょう。そのガスが漏れていないか、ストーブなどから有害なガスが出ていないかなどを調べる事が出来ます。
また最近では家の壁や床から有害なホルムアルデヒドというガスが出てきていないか調べるために検知管が使われています。
重工業
製鉄・造船・自動車・パルプ他
製造業
食品・家電・半導体他
化学・エネルギー
化学工業・石油精製・ガス・電力他
みなさんの学校や家の周りには大きな工場がありますか?例えば鉄を作っている製鉄所、船を作っている造船所、自動車、紙など何かを作っている工場があると思います。
何かを作る時に特別なガスが必要になったり、作る時に一緒にできてしまうガスの中には人間や環境に有害なものがあります。そのガス濃度をコントロールすることで良い製品を作り、また働いている人や工場の周りに暮らす人の命や健康を守ることができます。
ここでもガスの測定に検知管が使われています。
工事現場
上・下水道・ガス工事・建設工事現場他
工事現場では有害なガスの発生などの事故が起こる可能性があります。
例えば工事で掘った穴の奥の方に危険なガスが出てきていたら…そんなガスを検知管で先に調べれば事故をふせぐことが出来ます。
研究・開発
研究室・実験室他
世界中で研究や開発に色々なガスが使われ、そのガスの種類もどんどん増えつづけています。検知管は何百種類もありますので世界中の研究や開発に利用されています。
交通機関
列車(電車)・客船・飛行機・バス他
医療機関
病院・診療所・保健所他
オフィス
一般オフィス・会議室・ロビー・スタジオ他
スポーツ・レジャー
プール・アスレチック・エアロビクススタジオ他
パブリックスペース
映画館・劇場・デパート・ホテル・レストラン他
人が多勢集まる場所ではそこの空気環境を良くしておかなくてはなりません。そのためにはどの程度空気が汚れているのか定期的に調べる必要があります。ここに上げた例はほんの一部ですが多くの人が健康に生活していくために色々な所で検知管が役立っています。
Q.9
検知管を割ってしまった場合はどうすればよいですか?
A.9
検知管が割れた時は、ガラスの破片や検知剤に素手で触れないでください。素手で触るとけがなどをする恐れがあります。検知剤に触れた時は、直ちに水でよく洗い流してください。破片や検知剤は掃き取り、さらに水を含んだぬれ雑巾でふき取ってください。