あらゆる気体の測定に 株式会社ガステック

よくあるご質問詳細

製品のご購入・アフターサービスについて

Q1.

製品はどこで購入できますか?

A1.

当社の販売店よりお買い求めいただけます。お近くの販売店をご紹介させていただきますので、お問い合わせください。

<お問い合わせ先>
本社営業部
〒252-1195 神奈川県綾瀬市深谷中8-8-6
TEL.0467-79-3911 FAX.0467-79-3979

西日本営業所
〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原2-14-14 新大阪グランドビル
TEL.06-6396-1041 FAX.06-6396-1043

九州営業所
〒812-0066 福岡県福岡市東区二又瀬11-9 パークサイドスクエア
TEL.092-292-1414 FAX.092-292-1424

海外営業部
〒252-1195 神奈川県綾瀬市深谷中8-8-6
TEL.0467-79-3910 FAX.0467-79-3979

Q2.

製品のレンタルはしていますか?

A2.

当社では製品のレンタルは行っておりません。レンタル業者様をご紹介させていただきますので、お問い合わせください。(ご希望の製品のレンタル業者様でのお取扱いの有無につきましては、レンタル業者様へ直接お問い合わせいただきますようお願いいたします。)

Q3.

製品購入前の検討のために、製品のデモや試用は可能ですか?

A3.

原則として製品ご購入検討用のデモやご試用は対応しておりますので、お問い合わせください。
(製品の貸出し状況や、製品の種類によってはご希望に添えない場合もございます。予めご了承ください。)

Q4.

使用中の製品が販売終了になると聞きました。販売終了後もメンテナンスは可能ですか?

A4.

通常、製品販売終了後もメンテナンスに対応できるよう、保守部品の確保に努めております。ただし、一定の年数が経過した場合、該当保守部品の在庫が無くなる場合も考えられ、その場合は修理は致しかねます。製品によってはセンサのみ交換可能な場合などもありますが、機種によっても異なりますので下記までお問い合わせください。

<製品の修理に関するお問い合わせ先>
株式会社ジーセルビス
〒252-1107 神奈川県綾瀬市深谷中8-8-6 
TEL:0467-79-3919 FAX:0467-70-6609

Q5.

製品の修理依頼はどこに連絡したらいいですか?

A5.

製品の修理につきましては、メンテナンス会社のジーセルビスにて対応致します。
下記までお問い合わせください。

<製品の修理に関するお問い合わせ先>
株式会社ジーセルビス
〒252-1107 神奈川県綾瀬市深谷中8-8-6 
TEL:0467-79-3919 FAX:0467-70-6609

Q6.

検知管を海外で使用したいのですが、海外で購入することはできますか?

A6.

検知管を海外で購入することは可能です。海外代理店をご紹介いたしますので、お問い合わせください。
国内で購入した検知管を海外へ送付する場合は非該当証明書を発行いたしますので、お問い合わせください。

<お問い合わせ先>
本社営業部
〒252-1195 神奈川県綾瀬市深谷中8-8-6
TEL.0467-79-3911 FAX.0467-79-3979

西日本営業所
〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原2-14-14 新大阪グランドビル
TEL.06-6396-1041 FAX.06-6396-1043

九州営業所
〒812-0066 福岡県福岡市東区二又瀬11-9 パークサイドスクエア
TEL.092-292-1414 FAX.092-292-1424

海外営業部
〒252-1195 神奈川県綾瀬市深谷中8-8-6
TEL.0467-79-3910 FAX.0467-79-3979

操作について

Q7.

建築物衛生法に基づく空気環境測定のため二酸化炭素検知管No.2LCを購入しました。検知管が入っている箱のラベルには、1回(100mL)の吸引時間が約2分と書かれていますが、これは気体採取器のハンドルを2分間かけてゆっくりと1回引けばいいのでしょうか。

A7.

測定時のハンドル操作は、ゆっくり時間をかけて引かず、一気に最後まで引きます。最後まで引くとハンドルのロックが掛かりますので、その状態で測定終了まで保持します(No.2LCでは約2分間保持します)。
ハンドルを引くと採取器内が減圧状態となり、接続した検知管の先端からガスが吸引されます。吸引のスピードは採取器内の減圧の度合いに比例し、ハンドルを一気に引いた瞬間に減圧の度合いが最も大きく、より速く吸引されます。吸引が進み採取器内の減圧の度合いが徐々に低下すると吸引スピードが遅くなり、常圧になると測定終了となります。
一方、ゆっくり引いた場合には、採取器内の減圧度合いが小さいためガスはゆっくり吸引され、測定中は減圧の度合いと吸引スピードがあまり変化しません。この場合、図のように変色の長さが短くなる傾向にあり、最終的な指示値はハンドルを一気に引いた時に比べて低くなることがあります。

Q8.

気体採取器の正しい操作方法を教えてください。

A8.

操作はいたって簡単です。注意する点を含めて以下に紹介します。
測定前には必ず気密性の確認を行ってください。
(方法は気体採取器の取扱い説明書を参照してください。)

①検知管の両端を折り取り、G▲マークが気体採取器を向くように入口ゴムに差し込みます。
②ハンドルを完全に押し込み、シリンダとハンドルのガイドマークを合せます。
ハンドルを押し込むことでシリンダ内の空気を排気します。
この操作は検知管を付けたままで可能です。
③測定したい場所でハンドルを一気に引き、固定(ロック)します。そのまま、その場所で吸引時間の経過を待ちます。
 ※ハンドルは力強く,一気に引く。ゆっくり、時間を掛けて引くと、検知管の指示が低くなることがある。
 ※ハンドルを引いたとき、固定できない場合はガイドマークが合っていない。
 ※吸引が終了するまで測定場所から、気体採取器を移動させないこと。
 ※検知管のパッケージの表側ステッカーに表示されている吸引時間は、吸引終了の確認を行うための待ち時間。
④吸引時間経過後、ハンドルを90度回して、ロックをはずし、手を離す。この時ハンドルの戻らないことを確認し、吸引終了とします。もし、戻る場合は、ハンドルを押し込まず,そのまま引き戻し、ガイドマークを合わせ、しばらく待ちます。その後、同様の操作によりハンドルの戻らないことを確認します。2回以上の吸引回数の場合は 2. から 4. の操作を繰返してください。 以上で、サンプリングは完了しました。後は、直ちに検知管の指示値を読み取ってください。

Q9.

複数回の吸引をする検知管の場合、1回の吸引が終了したあと次の吸引まで時間をあけてもいいですか?

A9.

1回の吸引終了時に、次の吸引まで時間を空けると正しい測定値を得ることができませんので、1回の吸引が終了したら直ちに次の吸引を行います。
時間をあけてしまうと測定値に誤差が生じる恐れがあります。

Q10.

気体採取器の吸引終了の判断は吸引時間でしょうか、それとも気体採取器のフィニッシュインジケータが白になったとき、どちらですか?

A10.

吸引終了の判断はフィニッシュインジケーターが白になったときです。このとき、ハンドルロックを解除してもハンドルが戻らないことを確かめてから終了します。
吸引時間は1回(100mL)が終了するおよその時間を表しており、インジケーター(白)と必ずしも一致しないことがあります。

気密について

Q11.

気体採取器の気密性を維持するために、普段から注意することはありますか?

A11.

できる限り、空引きを避けてください。特に、環境中に粉じんや腐食性ガスが存在する場合、検知管を付けずに空引きすると粉じんなどが内部に入り、漏れの原因となります。

Q12.

気体採取器の気密性を確認する簡単な方法を教えてください。

A12.

気密性を調べる方法は、以下に紹介しますが、この気密性の確認は測定前に必ず行ってください。

①未使用の検知管を取付口にしっかり差し込みます。
②ハンドルを完全に押し込み、ガイドマークを合わせ、ハンドルを一気に引きロックします。
③1分後にハンドルを90°まわし,指をかけて支えながらゆっくり戻します。
④ハンドルが元の位置に戻ればOKです。

吸引回数について

Q13.

気体採取器の吸引回数を増やすと感度は上げられますか?

A13.

検知管の種類により異なり、感度の上がるものと上がらないものがあります。
検知管によっては湿度の影響も受けず、吸引回数を増やすと感度の上がるものもあります。また、酸化剤や除湿剤等の前処理剤を使用している場合、その破過で感度の上がらないものもあります。
感度を上げたい場合は、お問い合わせください。また、通常の測定では精度確保のために、取扱説明書に記載されている吸引回数以内でご使用ください。

Q14.

1/2回吸引(50mL)で止めたら指示が低かったので、そのまま引いて1回吸引(100mL)にしました。指示は正しいでしようか?

A14.

精度は保証できません。1回吸引で再度測定してください。
1/2回吸引を2回引いた場合と1回吸引を1回引いた場合、ガス採取量は100mLで同じです。しかし、検知管を通過する時の試料ガスの流速が異なるため、正しい指示が得られません。

Q15.

検知管には目盛範囲と測定範囲がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?

A15.

目盛範囲とは、検知管に印刷されている目盛の範囲のことです。基準吸引回数で試料気体を採取した場合、指示値=濃度として目盛を直接読み取ることができる濃度範囲です。また、測定範囲とは吸引回数を変えることにより可能となる測定の最大範囲です。

例のNo.3Lの目盛範囲は1~30ppmですが、測定範囲は0.5~78ppmとなっているように、検知管には目盛範囲を超えた高濃度から低濃度まで測定できるものも多く、測定範囲には当該検知管で測定できる最大の範囲を表示しています。 ただし、基準吸引回数以上または基準吸引回数以下にてガスの測定を行う場合には固定の換算係数や換算スケールを用いる関係上、一般の検知管と同等な精度を得られない場合があります。そのため、精度よく測定していただくためにも、目盛範囲内で測定可能な検知管をご使用ください。


例)No.3L
Q16.

基準吸引回数n=1の検知管の吸引回数を1/2回吸引に変えた時、換算係数=2ではない検知管があるのはなぜでしょうか?

A16.

基準吸引回数n=1の検知管吸引回数を1/2回吸引に変えた時、換算係数=2とならないのは、検知管内に充填されている担体のガスに対する吸着能力やガス自身がもつ吸着性が大きく影響しているためです。また、通気速度や通気抵抗の大きさ、ガスとの反応速度の違いもその原因のひとつと考えられます。
各々の検知管によってこれらの条件が異なる為、吸引回数を半分にしても変色の長さが半分になるとは言い切れません。例に示してあるNo.3Lのように高濃度側でのガスの吸着が大きいものは、1/2回吸引を行った場合に実際のガス濃度の半分以下しか変色しないため、換算係数が2以上となります。このように、各々異なる特性を持った担体・試薬・ガスを使用するため、吸引回数による換算係数の算出には、実際に必要な吸引回数での検量線を作成し係数を算出されており、吸引回数を1/2回吸引に変えた時に換算係数=2ではない検知管が存在することになります。

Q17.

気体採取器GV-100のハンドルには▲50と▲100というマークが付いていますが、どういう役割を果たしているのでしょうか?

A17.

ハンドルにある▲50は50ml吸引すること、▲100は 100ml吸引することを示しており、これらを切替えることで1/2回吸引(50ml)と1回吸引(100ml)の切り替えが可能です。

切り替えを行うことによって、確実に一定量の吸引を行うことができます。検知管には、種類ごとに吸引回数が1/2回(50ml)、1回(100ml)、複数回と定められていますので、用途に応じ切り替えを行い使用してください。
気体採取器GV-100のハンドル

原理について

Q18.

検知管測定における吸引原理と吸引速度について

真空式のガス採取器と検知管を用いて測定を行った場合の簡単な吸引の原理等について教えてください。
また、測定中に検知管を通過する被検空気の速度は一定に保たれているのですか?
(G株式会社 衛生管理者)

A18.

真空式ガス採取器(以下、ポンプとします)を使用して検知管による 測定を行った場合、検知管を通過する被検空気の速度は一定では ありません。
ポンプは図1のような構造で、完全に押し込んだハンドル(ピストン)を一気に引くことにより、シリンダ内に真空状態をつ くり、接続した検知管を通して被検空気を吸引する機能を持っています。
ハンドルを一気に引いた直後はシリンダ内の真空度が最も高い状態ですので検知管を通過する被検空気の速度は最も速く、真空度が低下していくに従い徐々に吸引速度は遅くなり、シリンダ内が常圧になった時点が吸引終了となります。サンプリングの終盤に試料ガスをゆっくりと通気することは、検知管の変色の先端をシャープにする特徴を有しています。
個々の検知管により、一回(100ml)の吸引時間はそれぞれ異なりますが、吸引時間を1分(60sec)とした場合、吸引時間と吸引量の関係は図2のようになり、吸引時間が変わってもこの傾向は変わりません。
ただし、この吸引時間はあくまでも目安です。吸引が完全に終了(検知管に所定の被検空気が通気)したことは、下記のどちらかの方法により確認します。
いずれも、シリンダ内が常圧となり、ポンプに吸引力がない状態を示しています。
①所定の吸引時間経過後、ハンドルを約90度回しハンドルのロックを解除します。このとき、シャフトがシリンダ内に戻らないことにより吸引が終了したことを確認します。
②ハンドル後部のフィニッシュインジケータ(写真1)のフロートが吸引終了を指示していることを確認します。

図1 真空式ガス採取器の構造
図1 真空式ガス採取器の構造
図2 吸引時間と吸引量の関係
図2 吸引時間と吸引量の関係
写真1 フィニッシュインジケータ
写真1 フィニッシュインジケータ

その他

Q19.

気体採取器はメンテナンスが必要ですか?

A19.

気体採取器(GV-100やGV-110)は、空気漏れが無ければ吸引量が100 mL±5%になるように設計されています。しかし採取器に漏れがあると指示値が低くなります。採取器の漏れの主な原因と対策は以下のようになります。

漏れの原因箇所 原因 対策
入口ナット 締め忘れによるゆるみ 締め付ける
インレットゴム 損傷または劣化 インレットゴムを交換する
シリンダピストン グリスの汚れまたはグリス切れ グリスアップをする

測定前には必ず気密性の点検を行ってください。

動画で見る気密試験



 
Q20.

検知管で高濃度のガスを吸引した場合、気体採取器の中にガスが残っていて危険なのでは ないでしょうか?

A20.

検知剤層に未変色の部分 が残っていれば、測定対象ガスは 全て反応してしまっているので、 気体採取器内に吸引されることはありません。検知剤が全層変色してしまった場合には、採取器内に高濃度の有害ガスが吸引されている可能性があります。その際には、局所排気装置や呼吸保護具を用いるなどの安全確保を行ってから採取器内のガスを排出し、更に清浄な空気中で数回の置換を行ってください。また、腐食性のあるガスを吸引してしまった場合には、採取器の空気漏れの原因となることがありますので、気密試験等を行って異常ないことを確認してください。検知管によっては、有機塩素系溶剤などのような、それ自体には腐食性がない物質でも、塩素や塩化水素等の分解生成物を生成させて測定している場合がありますので、あらかじめ取扱説明書等で反応原理を確認しておくことをお勧めします。なお、検知剤の変色状態に関わらず、測定対象以外のガスが共存している場合には、未反応のまま採取器内に吸引されてしまう場合がありますので、不用意に顔の近くで採取器のハンドルを戻したりしないように注意してください。

Q21.

気体採取器セットの型式がいくつかありますが、違いを教えてください。

A21.

気体採取器セットはGV-100S・GV-100LS・GV-110Sの3型式があり、気体採取器、メンテナンス品、収納ケースがそれぞれセットになっています。

型式により気体採取器と収納ケースが異なります。

セット内容 気体採取器 収納ケース
GV-100S GV-100 ハンディタイプ
GV-100LS GV-100 ショルダータイプ
GV-110S GV-110 ハンディタイプ

GV-100は真空式気体採取器です。気体採取器に吸引カウンタを内蔵したものがGV-110で、複数回の吸引操作が必要な検知管を使用するときに便利です。

ショルダータイプのケースは検知管や延長採取管などのオプション品を一緒に収納することができます。

なお、メンテナンス品は型式による違いはありません。採取器内部を気密に保つための「グリス」と、検知管を接続するための「インレットゴム」(3個)をまとめてメンテナンス品(GV100-1)としています。その他オプション品として、グリス(GV100-2)、インレットゴム10個入り(GV100-3P10)も用意しています。
    
GV-100S          GV-100LS          GV-110S
Q22.

気体採取器GV-100またはGV-110を使って、教材用(31E-2や2ELなど)の検知管は測定出来ますか?

A22.

GV-100およびGV-110は産業用のため、教材用検知管には使用できません。
教材用検知管には教材用気体採取器50-2をご使用ください。

操作について

Q23.

気体採取器の吸引終了の判断は吸引時間でしょうか、それとも気体採取器のフィニッシュインジケータが白になったとき、どちらですか?

A23.

吸引終了の判断はフィニッシュインジケーターが白になったときです。このとき、ハンドルロックを解除してもハンドルが戻らないことを確かめてから終了します。
吸引時間は1回(100mL)が終了するおよその時間を表しており、インジケーター(白)と必ずしも一致しないことがあります。

Q24.

検知管には目盛範囲と測定範囲がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?

A24.

目盛範囲とは、検知管に印刷されている目盛の範囲のことです。基準吸引回数で試料気体を採取した場合、指示値=濃度として目盛を直接読み取ることができる濃度範囲です。また、測定範囲とは吸引回数を変えることにより可能となる測定の最大範囲です。

例のNo.3Lの目盛範囲は1~30ppmですが、測定範囲は0.5~78ppmとなっているように、検知管には目盛範囲を超えた高濃度から低濃度まで測定できるものも多く、測定範囲には当該検知管で測定できる最大の範囲を表示しています。 ただし、基準吸引回数以上または基準吸引回数以下にてガスの測定を行う場合には固定の換算係数や換算スケールを用いる関係上、一般の検知管と同等な精度を得られない場合があります。そのため、精度よく測定していただくためにも、目盛範囲内で測定可能な検知管をご使用ください。


例)No.3L
Q25.

検知管の箱に「10本入 5回分」と表示がありますが、どういう意味ですか?

A25.

「10本入 5回分」とは、箱の中に反応管と検知管がそれぞれ5本ずつ(計10本)入っており、1回の測定で反応管と検知管を1本ずつ使用するため5回の測定が可能です。
検知管には、検知管1本で測定する単一管タイプと、目盛のない反応管と目盛のある検知管の2本を繋いで測定する二連管タイプがあります。
目盛がない反応管は、前処理剤や酸化剤、除去剤、除湿剤などが充填されています。検知管と連結することにより正しい測定が可能になります。
ご使用の前に取扱説明書をご一読ください。

Q26.

検知管によっては、目盛の下限値側に、数値の記載が無い線があります。この線は何ですか?

A26.

最小目盛です。
最小目盛の下にある数値の記載の無い太い線が測定開始点(ゼロ目盛)です。最小目盛の値は型式により異なります。

最小目盛
Q27.

複数回の吸引をする検知管の場合、1回の吸引が終了したあと次の吸引まで時間をあけてもいいですか?

A27.

1回の吸引終了時に、次の吸引まで時間を空けると正しい測定値を得ることができませんので、1回の吸引が終了したら直ちに次の吸引を行います。
時間をあけてしまうと測定値に誤差が生じる恐れがあります。

保存について

Q28.

一度使用した検知管を、再度使用できますか?

A28.

たとえ変色が見られなくても、再度使用することはできません。
目には見えなくても、必ず水分や他のガスが検知管内に入っており、再び正しい測定はできません。一回一回新しい検知管を使用してください。

Q29.

検知管の保存方法の「冷暗所保存」とはどういうことか、具体的に教えてください。

A29.

日光や蛍光灯の直射を避けた涼しい場所での保存とお考えください。
理想的には冷蔵庫ですが、無理な場合、机やロッカーの中でもOKです。検知管の種類によっては、冷蔵庫保存(0~10℃)厳守のものもありますので,注意してください。

Q30.

使用した検知管で変色が無い場合、もう一度使用することは可能ですか?

A30.

一度使用した検知管に関しては変色が無くても使用することは出来ません。
検知管に大気を通気させた場合、検知管内の薬剤の含水率が変わってしまうことや、変色が起きるような反応ではなくても別の物質へと変化している可能性もあるため、一度使用した検知管を再度使用することは出来ません。
同様な理由から、検知管は測定直前に両端を折り取るようにし、予め両端を開封してあった検知管は使用しないようにしてください。

Q31.

冷暗所保管の検知管を冷蔵庫に入れると寿命は延びますか?

A31.

検知管に使用されている試薬によっては温度により劣化が進行しやすく冷蔵保管(0~10℃)をお願いしている型式と冷暗所保管(15~25℃)で良いと判断した型式があります。
冷暗所保管を指定しているものに関しても冷蔵保管した場合に劣化スピードは遅くなりますので、設備に余裕があるようでしたら冷蔵保管が理想的です。ただし、保管方法に関わらず有効期限を超えて使用された場合の精度の保証はできかねますのでご容赦ください。

Q32.

冷蔵庫保管の検知管を使用する場合には直前まで冷蔵しておいたほうがよいのでしょうか?

A32.

検知管の劣化防止という点では直前まで冷蔵保管することをお勧めいたします。しかし、検知管の中には温度による測定値の換算が必要な型式もあります。冷蔵庫内から取り出した検知管が冷えたままで測定を開始すると導入されたガスが冷却されて正しい測定値が得られない場合があります。 測定の直前には検知管温度を測定環境下と同じ温度になるよう、充分な時間お待ちいただいたあとに測定を実施してください。

Q33.

冷蔵庫(10℃以下)にて保管する検知管が常温で届きました。問題ないのでしょうか?

A33.

冷蔵庫保存の検知管は、数日程度(概ね1週間程度)の常温での輸送・保存による精度への影響はありません。ただし、昨今の猛暑を鑑み6月~9月の間は、クール便で輸送しております。
詳細は下記をご覧ください。

精度について

Q34.

検知管の"正確さ"について教えてください。

A34.

検知管の指示性能に関して、作業環境用から%濃度の工程管理用の検知管に至るまで幅広い範囲をカバーする規格として「日本産業規格(JIS) K 0804 検知管式ガス測定器」があり、その2022年版では、以下のように規定されています。

クラス 試験ガス濃度に対する
検知管の読みのかたより(B)
試験ガス濃度に対する
検知管の読みのかたより(B)
検知管による測定における
拡張不確かさ*(U)
クラスA 15%以下
(最大目盛の33.3%以上の濃度域)

15~25%
(最大目盛の20~33.3%の濃度域)

25%以下
(最大目盛の20%以下の濃度域)
30%以下
(最大目盛の26.7%以上の濃度域)

30~50%
(最大目盛の16~26.7%の濃度域)

50%以下
(最大目盛の16%以下の濃度域)
クラスB 規定なし 50%以下(濃度全域)
その他
(酸素
検知管)
5%以下
(酸素濃度18~21%の濃度域)

クラスAの性能
(18~21%以外の濃度域)
12%以下
(酸素濃度18~21%の濃度域)

クラスAの性能
(18~21%以外の濃度域)
*検知管の変色層の長さ、温度の影響、湿度の影響、および試験用ガス濃度に関連する各々の不確かさ成分から算出

圧力の影響について

Q35.

検知管の指示値は、気圧の影響を受けますか?

A35.

検知管の濃度目盛は、1気圧(1013hPa)の状態で決定されています。通常は、ほとんど影響ありません。
しかし、高地(気圧の低い場所)や高気圧下の土木作業(圧気工法)など、気圧が通常とかけ離れている場所は、指示値の補正が必要となります。

真の濃度は、次式により求めます。
真の濃度=指示値×1013/測定地点の気圧(hPa)
〈例)標高934m軽井沢の標準気圧906.5hPa、 検知管の指示値18.8%の場合。
18・8〈%)×1013/906.5(hPa)=21(%)

温度の影響について

Q36.

検知管の指示値は、温度の影響を受けますか?

A36.

検知管の種類によっては、指示値が温度の影響を受けるものがあります。
検知管の濃度目盛は、検知管温度が20℃での状態で決定されています。
これ以外の温度で実測試験を行い、±10%以上の誤差を生じた検知管には、0~40℃の間で温度補正表をつけ、対応しています。
補正表は、検知管の取扱説明書に記載してありますので指示値の補正を行ってください。
ここでは、検知管温度が雰囲気温度と同じことを前提としています。

Q37.

温度の補正の方法を教えて下さい。

A37.

補正には、次の2つの方法があります。
タイプA:補正係数(f)を用いる
タイプB:表から読取る
それぞれのタイプを、例をあげて紹介します。補正係数および換算表は、検知管の取扱説明書に記載してあります。

タイプA

トリクロロエチレン検知管Cat.No.132LLで測定した結果、指示値が2.5ppm、測定点の温度(検知管温度)は15℃であった。真の濃度を求めるには下の表の補正係数を使用します。

温度(℃) 0 5 10 11 12 13 14 15
温度補正係数 1.4 1.3 1.2 1.18 1.16 1.14 1.12 1.10
温度(℃) 16 17 18 19 20 25 30 35 40
温度補正係数 1.08 1.06 1.04 1.02 1.00 0.9 0.8 0.75 0.65
検知管の取扱説明書記載値 検知温度15℃の補正係数

真の濃度=検知管指示値×補正係数(f)

手順1

15℃の時の補正係数は、10℃と20℃の各補正係数の差を等分して補正係数(f)=1.10となります。

計算式:f=(1.2-1.0)/(20-10)×(20-15)+1.0=1.10

 

手順2

真の濃度は、検知管指示値2.5ppm ×補正係数1.10の計算式から、トリクロロエチレン濃度2.75ppmの結果が得られます。

タイプB

ジエチルエーテル(エーテル)検知管Cat.No.161で測定した結果、指示値が0.5%、測定点の温度(検知管温度)は、35℃であった。真の濃度を求めるには下の表を使用します。

指示値(%) 温度℃ 真の濃度(%)
0 10 20 30 40
1.0 1.3 1.1 1.0 0.9 0.75
0.8 1.0 1.9 0.8 0.7 0.6
0.6 0.75 0.65 0.6 0.55 0.5
0.4 0.5 0.45 0.4 0.35 0.3
0.2 0.25 0.22 0.2 0.18 0.15
0.1 0.13 0.1 0.1 0.1 0.08
0.04 0.05 0.04 0.04 0.04 0.03
指示値(%) 温度℃ 真の濃度(%)
30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
0.6 0.550         0.525         0.500
0.55           0.475          
0.50           0.425          
0.45           0.375          
0.40 0.350         0.325         0.300

真の濃度=検知管指示値行と温度列の交錯した値

 

手順1

30℃と40℃の真の濃度より35℃の真の濃度を求めます(等配分)。 指示値0.6%に対応する35℃の時の真の濃度は、0.525%
計算式:0.550-(0.550-0.500)/(40-30)×(35-30)=0.525

指示値0.4%に対応する35℃の時の真の濃度は、0.325%
計算式:0.35-(0.350-0.300)/(40-30)×(35-30)=0.325

 

手順2

手順1で得られた値の差を等配分して、実際の指示値0.5%の真の濃度を求める。

計算式:0.325+(0.525-0.325)/(0.6-0.4)×(0.5-0.4)=0.425

従って、35℃の時に得られた0.5%のジエチルエーテルの、真の濃度は0.425%です。

干渉ガスの影響について

Q38.

干渉ガスについて教えてください。

A38.

試料気体中に、測定対象気体とは別にいろいろな気体が共存すると、測定値に影響を及ぼす場合があります。
干渉ガスとは、この影響を及ぼす共存ガスのことです。
指示値を高める場合の他、指示値の低下や変色先端の境界を不鮮明にするなど、正確な測定ができなくなります。
個々の共存ガスの影響の程度、有無については、検知管の取扱説明書に記載してありますので参照して不さい。

Q39.

アンモニア検知管No.3Lの変色は取扱説明書によると「桃色→黄色」ですが、オゾン脱臭装置の排ガス測定を行ったところ白色に変色してしまいました。なぜ、このような現象が起こったのでしょうか?

A39.

アンモニア検知管No.3Lの反応原理はpH指示薬の変色に基づいています。排ガス中にオゾンや高濃度の塩素のような強酸化性のガスが含まれている場合には、pH指示薬が脱色されて白色または淡い色になってしまいます。このような強酸化性ガスの発生源としては、オゾン脱臭装置の他にも静電集塵機等が考えられます。このような状況では、気体採取器内にも酸化性ガスが吸引されている可能性がありますので、採取器のハンドルを戻す際には、吐出する気体に暴露しないように注意するとともに、清浄空気中で採取器内を十分に置換して腐食を防ぐようにしてください。

Q40.

 二酸化イオウ検知管No.5Lbの変色は取扱説明書によると「黄緑色→黄色」ですが、ある工程のガスを吸引したら、「黄緑色→青色」の変色をしてしまいました。どのような原因が考えられますか?

A40.

二酸化イオウ検知管No.5Lbの反応原理は、二酸化イオウが検知剤中の塩化バリウムと反応して塩化水素を生成してpHが低下し、pH指示薬が黄色に変色するというものです。測定対象ガス中にアンモニアのような塩基性のガスが存在するとpHが高くなって、pH指示薬が青色に変色する場合があります。

Q41.

検知管の取扱説明書で「影響なし」と書かれている干渉ガスは、数%の濃度が共存しても影響しないのでしょうか

A41.

検知管の取扱説明書における干渉ガスの影響は、具体的な濃度記載がない場合には基本的に測定ガスと同等の濃度域において個々の共存ガスの干渉を表したものです。したがって、高濃度が共存した場合のような特別な条件では影響を及ぼす可能性があります。使用の際に影響があると思われる場合には弊社までお問い合わせください※。

※お問い合わせいただいた場合でも、高沸点・不安定・入手困難などの理由により共存試験が行えない、若しくは指定の濃度で試験ができない場合もございますので、予め御了承ください。

Q42.

検知管の指示値に影響を与えるガスは、取扱説明書に記載されているものだけですか

A42.

検知管の取扱説明書に記載されている干渉ガス種としては、主に以下の①、②に該当するものが選ばれています。

① 測定対象ガスと共存する可能性が高いガス
② 反応原理上、影響を受ける可能性が高く、なおかつ測定対象ガスと共存する可能性のあるガス

従いまして、取扱説明書に記載されていないガスでも検知管の指示値に影響を与える場合があります。また、検知剤と反応しないような不活性なガスでも、空気の組成や密度に影響を与えるほどの高濃度が共存すると、検知管の指示値に影響する場合があります。取扱説明書に記載されていないガスの共存影響につきましては、弊社までお問い合わせください※。

※お問い合わせいただいた場合でも、高沸点・不安定・入手困難などの理由により共存試験が行えない、若しくは指定の濃度で試験ができない場合もございますので、予め御了承ください。

Q43.

測定対象ガスと類似の性質を有するガスが共存している場合、検知管の読み値はこれらのガスが合算した値と考えてよいですか?

A43.

類似ガスが共存している場合、プラスに干渉し読み値は高くなりますが、合算値と捉えることはできません。
検知管の変色感度はガスの種類毎に異なっており、対象ガスと同一濃度の類似ガスを単独で吸引しても、対象ガスとは異なる読み値を示します。
類似ガスが共存している場合には、正確な測定はできません。

Q44.

塩素、塩化水素、有機塩素化合物のガスに関して、それぞれの検知管における干渉の有無を教えてください。

A44.

塩素検知管(No.8La,8LL等)では、塩素の酸化力により変色が起こります。
したがって、その性質を持たない塩化水素や有機塩素化合物では干渉しません(一部の型式に例外があります)。

塩化水素検知管(No.14L,14M等)では、塩化水素の強酸性により変色が起こります。
また、塩素等の酸化力のあるガスにより、塩化水素と同様の色に変色するか脱色し、干渉します。
一方、それらの性質を持たない有機塩素化合物では干渉しません。

有機塩素化合物の検知管(130番台)では、測定対象ガスを酸化剤にて塩素や塩化水素に変換し、それらを検知しています。
したがって、塩素、塩化水素どちらにも干渉します(一部の型式に例外があります)。

Q45.

エタノール消毒を行う作業場で、トルエンと酢酸エチルを測定することは可能ですか?

A45.

トルエン検知管(例えばNo.122L)では酢酸エチルやエタノールの干渉を受けず、トルエンを測定できます。
一方、酢酸エチル検知管(例えばNo.141L)ではエタノール・トルエンの両物質によりプラスに干渉するため、酢酸エチルを測定することができません。

No.122L トルエン検知管では変色試薬として五酸化よう素が含まれており、トルエンをはじめとする芳香族炭化水素が通気されると、よう素が生成して茶色に変色します。他方、エタノール等のアルコール類や酢酸エチル等のエステル類が通気されてもこの反応は進みづらく、結果としてトルエンの読み値は影響を受けません。

No.141L 酢酸エチル検知管では変色試薬として六価クロム化合物が含まれており、酢酸エチルが通気されると三価のクロムが生成して黒褐色~淡青色に変色します。この反応は、酢酸エチル等のエステル類の他、エタノール等のアルコール類やトルエン等の芳香族炭化水素でも容易に起こるため、これらの物質が共存している場合にはプラスに干渉します。

有効期限について

Q46.

有効期限を過ぎた検知管を使用してもいいですか?

A46.

有効期限とは、パッケージラベルに表示された保存条件下で保存した場合の検知管の精度を保証する期間のことです。
有効期限を過ぎた検知管での測定は,変色はしたとしても精度は保証できません。
また、指定された保存条件以外で保存された検知管は、有効期限に満たなくとも精度を保つことができません。

湿度の影響について

Q47.

検知管の指示値は、湿度の影響を受けますか?

A47.

指示値が湿度の影響を受ける検知管は、数種類あります。
検知管の濃度目盛は、測定ガスの相対湿度が50%(20℃)または絶対湿度が10mg/Lの状態で決定されています。これ以外の湿度で実測試験を行い、±10%以上の誤差を生じた検知管には湿度補正表や補正計算式をつけています。補正表又は計算式は、検知管の取扱説明書に記載してありますので指示値の補正を行ってください。

例をあげて紹介します。

例1)

硝酸検知管No.15Lで測定した結果、指示値が5ppmでした。真の濃度を求めるには下の補正表を使用します。

絶対湿度(mg/L) 4 6 8 10 12 14 16
湿度補正係数(f) 0.55 0.68 0.85 1.0 1.17 1.3 1.35

真の濃度=検知管指示値×補正係数(f)

 

手順1.

測定ガスの絶対湿度を求めます。
(水蒸気用検知管No.6で絶対湿度を求めることができます。
測定ガスの絶対湿度は6mg/Lの結果が得られたとします。

 

手順2.

絶対湿度6mg/L補正係数は、表よりf=0.68となります。

 

手順3.

真の濃度は、検知管指示値5ppmX補正係数0.68の計算式から、3.4ppmの結果が得られます。

例2)

クロロホルム検知管Cat.No.137で測定した結果、指示値が60ppmでした。真の濃度を求めるには下の計算式を使用します。
真の濃度=検知管指示値×10(mg/L)/絶対湿度(mg/L)

 

手順1.

測定ガスの絶対湿度を求めます。
(水蒸気用検知管Cat.No.6で絶対湿度を求めることが出来ます。)
測定ガスの絶対湿度は12mg /Lの結果が得られたとします。

 

手順2.

検知管指示値に60ppm、絶対湿度に12mg/Lをあてはめ、真の濃度は計算式から、50ppmの結果が得られます。

表示単位について

Q48.

検知管に表示されている濃度の単位はいろいろありますがそれぞれの定義は?

A48.

主として、ガスの濃度における単位の定義を以下に記します。

単位 定義 対応英語 備考
% ガスの濃度を百分の1の単位で表したもの。 percent 1%=10,000ppm
1ppm=0.0001%
ppm ガスの濃度を百万分の1の単位で表したもの。 parts per million 1ppm=1,000ppb
ppb ガスの濃度を十億分の1の単位で表したもの。 parts per billion 1ppb=0.001ppm
mg/m3 1m3中に含まれる特定ガスの重量をミリグラムで表したもの。 milligram per cubic meter 1mg/m3=1,000μg/m3
μg/m3 1m3中に含まれる特定ガスの重量をマイクログラムで表したもの。 microgram per cubic meter 1μg/m3=0.001mg/m3
Q49.

mg/m3をppmに、ppmをmg/m3に変換する計算の方法は?

A49.

それぞれ重量を容量に、容量を重量に変換して計算する必要があります。
物質1モルの占める体積は、0℃、1気圧で22.4Lであるという原則が基本となります。
物質の分子量に等しいグラム数の物質の量を1モルといい、たとえば酸素(分子量32)の1モルは32gとなります。
これを基本として、以下の計算式によりmg/m3をppmに、ppmをmg/m3に変換することができます。

mg/m3をppmに変挽する場合
ppm=mg/m3×22.4/M×(273+T)/273×1013/P

ppmをmg/m3に変換する場合
mg/m3=ppm×M/22.4×273/(273+T)×P/1013

M:各物質の分子量
T:温度(℃)
P:測定点の気圧(hPa)

たとえば、25℃、1気圧(1013hPa)の状態でのベンゼン(分子量:78.1)1ppmは、上記(2)式に代入して、
1×78.1/22.4×273/(273+25)×1013/1013=3.194(mg/m3)となります。

Q50.

水蒸気用検知管にLB/MMCFという濃度単位のものがありますが、これはどのようなものですか?

A50.

この濃度単位は水蒸気検知管No.6LP、6LLPに使われており、この2品種は主にパイプライン中の露点測定に用いられています。
LB/MMCFのLBはPound(ポンド)、MMCFはMillion Cubic Feet(1×106ft3)を意味し、100万立方フィート中に存在する水蒸気の重量をポンド単位で表した絶対湿度の単位です。1mg/Lは62.3LB/MMCFに相当します。

Q51.

水蒸気検知管の単位は絶対湿度とのことですが、相対湿度、露点温度との関係は、どのようになっているのでしょうか?

A51.

絶対湿度 : 一定容量中の空気やガスに含まれる水蒸気の重量です。水蒸気検知管No.6、6Lではmg/Lという単位を用いていますが、g/m3、kg/m3
などの単位で表されることもあります(mg/Lとg/m3は同じ単位です)。

相対湿度 : 絶対湿度を、その温度における飽和湿度で割ったもの(近似的には水蒸気圧を飽和水蒸気圧で割ったもの)を相対湿度と呼び、通常は100を掛けて%単位で表します。天気予報などで「湿度○%」というときの湿度のことで、relative humidityの頭文字を取って、「RH%」などのように表記されることもあります。飽和湿度は温度に依存するので、例えば、相対湿度50%を絶対湿度に換算すると、10℃で約4.7mg/L、30℃で約15.2mg/Lのような差が生じます。絶対湿度と相対湿度の換算につきましては、水蒸気検知管No.6の取扱説明書に換算表が掲載されていますので、水蒸気濃度測定の際に御活用ください。

露点温度 :水蒸気を含んでいる空気を徐々に冷却していったときに、水蒸気が飽和に達し露を結ぶ温度を露点温度といいます。露点温度における飽和水蒸気圧力が、冷却する前の空気の水蒸気圧力となります。

露点温度における飽和水蒸気圧現在の温度における飽和水蒸気圧×100=相対湿度(%)

参考 :

  • 化学大辞典 共立出版
  • 蓑輪 善蔵 著 水をはかる
    日本規格協会
Q52.

検知管で使われている単位の「ppm」は体積分率と質量分率のどちらでしょうか?

A52.

ガス濃度で表記しているppmは体積分率です。
ppmとは百万分率のことで、その数値は、空気などの媒体の1L中に含まれる対象ガスの体積(μL)に相当します。

検知管が割れた場合の注意

Q53.

検知管を割ってしまった場合はどうすればよいでしょうか?

A53.

検知管が割れた時は、ガラスの破片や検知剤に素手で触れないでください。素手で触るとけがなどをする恐れがあります。検知剤に触れた時は、直ちに水でよく洗い流してください。破片や検知剤は掃き取り、さらに水を含んだぬれ雑巾でふき取ってください。

目盛の読み取りについて

Q54.

ガスを通気させた検知管を、1時間ほど放置したら測定終了直後より変色が伸びていました。どの時点で指示値を読取るのが正しいのでしょうか?

A54.

検知管の変色は、ガスの測定終了直後に読取った値が指示濃度となります。検知管は、化学反応による変色作用を利用していますので、測定終了後は時間経過とともに反応や拡散が進み、変色長が伸びていくものや短くなってしまうものもあります。また、色調が変化するものや退色してしまうものもあるため、測定終了直後に読取る必要があります。

検知管による測定を行った場合は、測定終了直後にボールペンや油性ペンなどで変色の境界に印をつけておくことをおすすめいたします。
検知管の図
Q55.

使用後の検知管の変色を長期間保存しておくことはできないのでしょうか?

A55.

A1に記すように、測定終了後の検知管は時間経過と共に化学反応や拡散が進むため、測定終了直後の色や長さを長期間保存することはできません。変色を保管するためには、写真に収めておき、変色の状態などを記録しておくことをおすすめいたします。

Q56.

最近、検知管を購入したのですが、以前に購入した同一品種の検知管と目盛の幅が違ったことがありました。問題ないのでしょうか?

A56.

検知管は、ガラス管の内径や担体、試薬などの材料による要因で、同じ濃度のガスに対する変色層の長さがロット間で異なることがあります。ガステックでは、正確さを維持するために、ロット毎に校正用ガスを用いて変色層の長さを測定(検量線を作成)し、検知管に濃度目盛を印刷しています。したがって、目盛の幅がロットによって異なる場合でも、同じ濃度のガスを測定すれば、読み取り値は同じ濃度を指示します。

その他

Q57.

消毒液の一つである次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)に記載されている「有効塩素」とは何でしょうか。また、これを検知管で測定することは可能でしょうか。

A57.

「有効塩素」とは、有毒な「塩素ガス」の意味ではなく、消毒液中に存在する失活していない殺菌成分(ここでは次亜塩素酸イオン(ClO-))のことを指します。したがって、No.8La、8LL等の塩素ガス検知管によるガスの測定ではなく、液中に残存している有効塩素(残留塩素とも呼ばれます)を測定することになります。
有効塩素の濃度は、殺菌力(=酸化力)の指標となり、水溶液1L(=約1kg)に含まれる殺菌成分の酸化力の量を、相当する分子状塩素の酸化力の量に置き換え、その質量に換算したものです。濃度単位として通常mg/Lが用いられますが、ppmで表した場合もおよそ同じ値になります(1mg/L=1ppm)。ただし、この場合のppmは水溶液中に含まれる殺菌成分の量を表しているので、ガス濃度で表記されるppmとは意味が異なります。
通常、次亜塩素酸ナトリウム溶液は、有効塩素濃度を数百mg/Lに調製したものが消毒液として使用されます。これを10~100倍に希釈することで、当社の液体用の遊離残留塩素検知管No.222(測定範囲0.1~10mg/L)を利用して有効塩素を測定できる可能性があります。

Q58.

検知管の測定所要時間とは、ガスの吸引が終了するまでの時間のことですか。それとも吸引後の変色が終了するまでの時間のことですか。

A58.

検知管の測定所要時間とは、所定の吸引回数のガスの採取を終了するまでの時間を言います。短時間用検知管の測定では気体採取器のハンドルを一気に引いてガスを吸引します。この時ガスは、一度に全量が吸引されるのではなく、薬剤の詰まった検知管の内部を徐々に通過していき、これに伴って薬剤とガスが反応し変色が起こります。したがって、ガスの吸引が終了した時に変色は完了しており、ガスの吸引が終了するまでの時間が1回吸引の所要時間となります。2回以上吸引する検知管では1回の吸引が終了したら直ちに次の吸引を行い、1回の所要時間に吸引回数を掛けた時間が測定所要時間となります。

Q59.

50ppm程度のギ酸を測定するために検知管を選ぼうと検知管リストを見たところ、以下のような記載がありました。これはどういう意味でしょうか?

A59.

検知管によっては対象気体以外にいくつかの気体を測定できるものがあります。

測定対象気体名 化学式 使用検知管名 測定範囲(ppm)
ギ酸 HCO2H 81* 酢酸 5.2~130

検知管リストの下部にも記載がありますが、*は換算係数、**は換算スケールを使用して測定を行います。換算係数は取扱説明書に記載のある係数を指示値に掛け、換算スケールは取扱説明書の換算スケールにしたがって濃度を求めます。
ギ酸の場合、検知管No.81では係数2 .6となっていますので、No.81の目盛範囲である2~50ppmに2.6を掛けた5.2~130ppmがNo.81を用いた場合にギ酸を測定できる範囲となります。
ただし換算で他のガスを測定する場合、固定の換算係数や換算スケールを用いる関係上一般の検知管と同等な精度を得られない場合があります。
換算により得られた数値は参考値としてお取り扱いください。

Q60.

研究でアンモニアを発生させ、ガス濃度を測定するために検知管を使用しています。普段どおりに発生をさせましたが、検知管による測定値が想定よりも低くなりました。どのような原因が考えられますか?

A60.

実験系に問題が無く、干渉するガスが存在せず、使用方法にも間違いが無い場合、検知管又はGV-100S等の気体採取器に異常がある可能性があります。
検知管に異常がないか調査する場合には、検知管に記載されている五桁のロット番号及び使用環境をお知らせください。
また、気体採取器に漏れがある場合にも測定値が低くなります。気体採取器に漏れがあるかどうかに関しては、気密試験を行なうことで確認をすることが可能です。
以下の方法で気密試験を行なってください。

1.採取器の入り口ナットが緩んでいないことを確認します。
2.両端を折り取っていない気体検知管をインレットゴムに差し込みます。
3.ハンドルが押し込まれた状態で、テールブロックのガイドライン(赤色)とハンドルのガイドマーク(▲100)を合わせます。
4.ハンドルのガイドライン(赤色)に沿ってハンドルを一気に最後まで引きます。固定されますのでハンドルから手を放し、約1分待ちます。
5.ハンドルに指をかけながら90度回します。ハンドルが戻ります。このとき、ハンドルのガイドラインが見えなければ気密性は良好です。

Q61.

排気ダクトの吹出し口を、検知管で測定する際に注意する点はあるのでしょうか?

A61.

温湿度や気圧などの使用環境が極端な条件でない限り、測定自体に問題はないと考えられますが、排気ダクトの吹出し口のような場所では、操業状態や時間帯によりガス濃度が一定でない場合があると推測されます。数回測定するか、サンプリングバッグに試料を採取してから測定することをお勧めいたします。

Q62.

配管内やフィルタの前後を検知管で測定していたら、いつまでも測定が終わらないことがありました。

A62.

圧力の補正方法に関しては取扱説明書に記載していますが、いつまでも測定が終わらないといった場合には測定箇所の減圧状態が推測されます。この場合、検知管への減圧カーブが大きく異なることが予測されるため、型式によっては正しい測定値が得られない場合があります。あらかじめサンプリングバックに試料を採取するなど、減圧状態を解消した条件での測定を推奨いたします。

Q63.

検知管の、試験成績書・校正証明書・トレーサビリティ体系図は発行していただけますか?

A63.

有償となりますが、発行することは可能です。
校正証明書に関しては必ず試験成績書付になりますが、試験成績書のみの発行やトレーサビリティ体系図のみの発行も可能です。
検知管はロット毎に品質を管理しており、校正証明書・試験成績書もロット毎に用意しております。必要に応じて、お申し付けください。

Q64.

検知管の安全データシート(SDS)が欲しいのですが。

A64.

当社ホームページに各型式毎に掲載しております。

Q65.

気体採取器GV-100やGV-110で使用する短時間用検知管は、自動ガス採取装置GSPシリーズや教材用気体採取器で測定しても問題ないでしょうか?

A65.

短時間用探知管の濃度目盛は、GV-100やGV-110のような内容積100mlのシリンダ形真空式気体採取器の流量特性に合わせて目盛付けされているため、自動ガス採取装置GSPシリーズや教材用気体採取器(内容席50ml)を用いて測定した場合、正しい測定結果を得ることはできません。また、メーカーの異なる気体採取器との互換性はないため、必ず同一メーカーのものをご使用ください。

Q66.

箱の中に目盛がない検知管が入っていましたが、これは何ですか?

A66.

検知管は種類により、2本繋ぎで使用する製品があります。そのような製品の場合、1箱に目盛がある検知管と、目盛がない反応管の2種類が入っています。目盛がない反応管は、前処理剤や酸化剤、除去剤、除湿剤などが充填されており、それぞれ以下のような役割を担っています。

反応剤:対象気体が直接測定できない場合、対象気体を測定可能な気体に変化させるためのものです。
酸化剤:反応剤と同様の役割で、対象気体を酸化して測定可能な気体に変化させるためのものです。
除去剤:試料気体中に、干渉ガスが共存している場合、その干渉ガスを除去するためのものです。
除湿剤:水蒸気により指示精度が影響を受ける場合、その水分を除去するためのものです。

ご使用の前に取扱説明書をご一読ください。

Q67.

検知管と反応管をどのように繋げばよいですか?

A67.

目盛がある管と目盛のない管のそれぞれ片側に「○」マークがプリントされています。そのマークがお互い向き合うようにし、付属のゴム管で繋いで使用します。

例:ベンゼン検知管 No.121TP
Q68.

検知管の取扱説明書に記載されている補正とは何ですか?

A68.

検知管の補正には、「吸引補正」「温度補正」「湿度補正」などがあります。
それぞれの補正の意味は、以下の通りです。

◎吸引補正
検知管はそれぞれ基準の吸引回数が定められています。この基準の回数で吸引したときは、検知管に印刷されている目盛が測定値となります。しかし検知管の種類によっては、目盛範囲外の濃度を測定することができます。そのような場合、読み値を測定値に換算するために用いるのが、吸引補正です。この吸引補正は吸引回数に比例しませんので、注意してください。なお、補正によって算出した値は、参考値としてお取り扱いください。

◎温度補正
一部の検知管は、温度の変化によって測定対象ガスと検知剤の反応速度が異なる場合や、物理的吸着量が増減する場合などがあり、変色長に変化をきたすことがあります。温度の影響を受ける検知管で正しい測定値を得るには、取扱説明書の表やグラフに記載されている温度補正係数などを用いて補正します。

◎湿度補正
一部の検知管は湿度の影響を受け、その要因は様々です。例えば検知剤に水分が吸着すると、対象ガスと試薬の反応が阻害されて、変色長に変化をきたすことがあります。湿度の影響を受ける検知管で正しい測定値を得るには、温度補正と同様に補正します。


検知管の種類により、それぞれの補正の要否、補正方法が異なります。必ず取扱説明書をお読みになり、ご使用ください。

Q69.

可燃性ガスのメタン・エタンを測定できる検知管はありますか?

A69.

現状、メタン・エタンを測定できる検知管はありません。

Q70.

検知管を使って、空気中のオイルミストを測定出来ますか?

A70.

オイルミスト検知管 No.109ADがありますが、通常空気中のガスは測定出来ません。
この検知管はボンベまたはコンプレッサー内に含まれる不純物を測定する検知管になります。エアテック検知管は、圧縮空気から流量計付きレギュレーターを使用して測定するため、気体採取器GV-100や自動ガス採取装置GSPシリーズ等では測定できません。

Q71.

検知管の多くは、空気中の測定用と説明書に記載されていますが、窒素中のガスを測定することは可能でしょうか?

A71.

検知管の型式により、測定できる場合とそうでない場合があります。
例えば、変色原理に酸塩基反応を利用している検知管(アンモニア検知管(3番台)や酢酸検知管(80番台)では影響は少ないです。詳しくはお問合せください。

Q72.

作業環境測定のため、検知管の使用が認められている有機溶剤について、当該の検知管を使用して測定したところ、変色が見られませんでした。この場合、測定結果はどうなるのでしょうか?

A72.

検知管の定量下限値が測定値となります。
作業環境測定基準(省令)では、有機溶剤等を取扱う指定作業の作業環境測定において、測定の結果、定量下限値に満たなかった場合、定量下限値を測定値とみなすと規定しています。

Q73.

気体採取器GV-100またはGV-110を使って、教材用(31E-2や2ELなど)の検知管は測定出来ますか?

A73.

GV-100およびGV-110は産業用のため、教材用検知管には使用できません。
教材用検知管には教材用気体採取器50-2をご使用ください。

液体検知管

Q74.

水に溶けている物質を測定できる検知管はありますか。

A74.

現在数種類のイオンを測定する検知管と、水に溶解している有機溶剤を測定する方法があります。
イオン測定用検知管は、泥や水に含まれている全硫化物を測定するCat.No.201系検知管や溶存硫化物イオンを測定するCat.No.211系検知管の他に塩化物イオン(生コンクリート中)を測定するCat.No.221C系検知管があります。
トリクロロエチレン等の塩素系有機溶剤は、ヘッドスペース法を利用して気相中のガス濃度を検知管(Cat.No.132系、133系、135系)で測定することで、水中濃度がわかります。

Q75.

水中の硫化物を測定する検知管には、溶存硫化物検知管(No.211等)と、全硫化物検知管(No.201H等)とがありますが、どのような違いがあるのでしょうか?

A75.

溶存硫化物検知管は浸透法検知管(図1)であり、水に溶解している硫化物を直接測定する検知管です。全硫化物検知管は硫化物測定セット「ヘドロテック-S No.330(図2)」専用の検知管で、底質や水に含まれる全硫化物を測定するものです。試料に酸を添加し、発生した硫化水素を測定して試料中の全硫化物量を求めます。

水中の硫化物は、火山や鉱工業排水などに起因するもののほか、たんぱく質の分解や嫌気性条件下における硫酸還元菌の作用などによっても生成します。悪臭や腐食などの原因となるほかに、溶存酸素を消費して貧酸素水域を生じ、生態系に被害を及ぼします。遊離イオンや金属硫化物などの様々な形態で存在し、条件によって単体イオウや硫酸塩・亜硫酸塩などにも変化します。海水中の硫化物による 貧酸素水域の発生や、還元性条件下での単体イオウの生成などの現象は、青潮の発生原因のひとつであるとも言われています。
溶存硫化物とは、文字通り、水中に遊離イオンとして溶けているイオウのことで、以下のような平衡状態にあり、pHが低いほど、平衡は左側に寄っていきます。

H2S
HS- + H+
S2- + 2H+

溶存硫化物検知管は、検知管の両端を折り取り、そのまま試料水に浸漬させるもので、毛細管現象で試料水を吸い上げて測定を行います。従って、検知剤と反応するのは、水中に溶けているイオウ、すなわち上の式のHS-およびS2-に相当するものであると考えられます。なお、溶存硫化物検知管は、共存塩化物イオンの影響を受けるため、海水等には使用できません。
全硫化物検知管は、溶存硫化物のほか、金属硫化物などの結合型硫化物等も測定することができます。

連続吸引式検知管

Q76.

電動吸引ポンプによりサンプリングを行なう検知管があるそうですが、どのようなものなのか教えて下さい。

A76.

一般的に、検知管のサンプリング用には、GV-100などのような手動の真空吸引式の気体採取器(ポンプ)が用いられています〈以下「真空式」)。しかしながら、従来の作業環境測定や工程管理のみならず、室内環境測定や大気環境測定等の分野において、より低濃度の測定が要望されるようになってきたため、より大容積の空気をサンプリングすることができるものとして、電動ポンプ等による連続吸引を行なうタイプの検知管が開発されました。

Q77.

電動吸引ポンプにはどのようなものがありますか?

A77.

室内環境測定用のGSP-200、大気環境測定用のGSP-250FT、GSP-2LFT、作業環境測定用のGSP-300FT等があります。
検知管のCat.No,の数字の後にPの付いているもの(No.91PL、No.122Pなど)は、室内環境用または大気環境用の「連続吸引式」検知管、Cat.No.の数字の後にTPの付いているもの(No.163TPなど)は作業環境用の「連続吸引式」検知管です。

Q78.

通常の検知管を電動ボンプで吸引しても差し支えありませんか?

A78.

通常の「真空式」の検知管では、気体採取器ハンドルを引いた瞬間には一気に大流量の空気が吸引され、その後、流速が徐々に低下しながら所定量の空気を吸引することになります。一方、「連続吸引式」の検知管では、サンプリングの開始から終了まで、終始一定の流速で吸引を行ないます。同じ容積の空気を吸引した場合でも、「真空式」と「連続吸引式」とでは、空気の通り方が全く異なるわけです。従って両者の間に互換性はなく、通常の検知管を電動ポンプで吸引して測定することはできません。

長時間用検知管

Q79.

検知管により、簡単に個人ばく露濃度の測定が可能と聞きましたが、どのような方法でしょうか。

A79.

簡易的な個人ばく露濃度の測定方法としては、長時間測定用の拡散形検知管を活用する方法があります。この場合も同様に、トルエン測定用の拡散形検知管を使用します。
作業者の呼吸域近くに拡散形検知管を取り付け、作業中連続してサンプリングを行います。検知管の目盛りは時間荷重濃度(ppm×時間)で表示していますので、サンプリング終了後、読み取った濃度をばく露時間(サンプリング時間)で割ることにより、単位時間当たりの平均個人ばく露濃度(ppm)を測定することができます。

Q80.

長時間用検知管 パッシブドジチューブとはどのようなものですか?

A80.

パッシブドジチューブとはガスの自然拡散を利用し、時間あたりの平均ガス濃度を測定することが出来る検知管です。手動ポンプ方式の短時間用検知管と同じ様な形状をしていますが、短時間用検知管には無いディフューザと呼ばれる拡散誘導体等を使用し、捕集感度をコントロールすることで、ポンプを使用することなく平均ガス濃度を測定することが可能な検知管です。
測定方法はパッシブドジチューブの片側(カッティングマークが入った側)を折り取り、作業者の呼吸域の襟元や作業場所等、測定したい場所にドジチューブホルダ等で固定します。一定時間経過後に着色した指示値を読取り読み取った値を測定時間で割ることで時間当たりの平均濃度を算出します(平均濃度計算例参照)。
パッシブドジチューブを使用することで個人曝露量の測定や、作業場所に固定して環境中の濃度分布マップ、あるいは日間変動を簡単に知ることができます。
平成17年に改正された法令*1により、事業者にはガス等による危険性や有害性の調査、措置を講ずることが努力義務化されました。しかし、それと同時に事業者には測定にかかるコストが大きな負担となり得ます。パッシブドジチューブは、ホルダと検知管のみで測定値が得られるコストパフォーマンスに優れた測定方法です。
*1 労働安全衛生法等の一部を改正する法律(平成17年11月2日 法律第108号)(事業者の行うべき調査等) 第28条の2

平均濃度計算例
8時間測定して指示値が10ppm・hrの場合
平均濃度=10(ppm・hr)÷8(hr)=1.25(ppm)


(例)91Dホルムアルデヒド
Q81.

長時間測定用検知管パッシブ・ドジチュープで測定したところ、目盛が印刷されている部分だけが変色して、他の部分は白いままでした。変色した部分で読み取ってもよいでしょうか?

A81.

パッシブ・ドジチュープ(PDT)の測定において、読み取りは、変色した検知剤部の目盛りを読み取ってください。
変色しない部分は、ガス拡散や補集感度をコントロールする拡散優導体(ディフューザ:白色)です。(図参照)ディフューザは、カッティングマークの面から通過してきたガスを検知剤側に誘導し、シャープな変色層を作り出す役目をしています。
※一部のPDTには、ディフューザを挿入していないものもあります。
※PDTについては、Q7. 「長時間用検知管 パッシブドジチューブとはどのようなものですか?」も併せてご覧ください。

(例)91Dホルムアルデヒド

ポリテック検知管

Q82.

ポリテック検知管とは何ですか?

A82.

未知ガスを特定するための定性用の検知管です。1本で複数種類のガスが検知できるため、有害なガスが存在するかどうか、そしてそのガスは何かを調べることができます。これらの検知管は主に石油精製施設や消防、廃棄物処分場から発生する未知ガスの特定に使用されます。

ポリテック検知管の一覧です。
型式 検知管名 1箱の測定回数 備考
No.107 ポリテックⅠ 10 有害ガス判定用
No.25 ポリテックⅡ 10 定性(NH3、SO2、H2S、CO等)
No.26 ポリテックⅢ 10 定性(NH3、H2S、ガソリン等)
No.27 ポリテックⅣ 10 定性(HCl、Cl2、NO2等)
No.28 ポリテックⅤ 10 定性(COCl2、SO2、H2S、HCN等)
No.108 火災原因調査用 10 定性(灯油、ガソリン)

検知管全般

Q83.

可燃性ガスのメタン・エタンを測定できる検知管はありますか?

A83.

現状、メタン・エタンを測定できる検知管はありません。

測定器について

Q84.

酸素濃度計や各種ガス検知警報器を使用していますが、メーカーによる定期点検は必要なので しょうか。

A84.

ガス測定器においては、必ずしもメーカーによる定期検査は義務付けされていません。点検作業はメーカーのみならず、ご使用者側でも行うことが可能です。重要なのは、機器の信頼性を維持させるべく日常点検や定期点検などの保守点検を確実に実施することです。この保守点検により正確なガス測定が行なえることはもちろん、機器の性能・機能を長期にわたり良好な状態に保つことができます。

Q85.

具体的な日常点検・定期点検の方法を教えてください。

A85.

(1)日常点検―使用前の点検で、機器の動作が正常であるかを調べます。
 A)外観点検―目視で本体およびセンサケーブルの断線・接触不良、吸引式の場合は吸引ホースに亀裂・損傷がないかを確認します。
 B)電源電圧―乾電池あるいは充電式電池の残量を確認します。
 C)センサ―酸素濃度計ではセンサの出力が指示値23%以上あることを確認、その他のガス種についてはゼロ点調整が行なえることを確認します。
 D)警報動作―警報機能を有している機器では、必要に応じて各ガスの警報設定値で警報を発することを確認します。

(2)定期点検―メーカー点検を含めた定期的に行う点検で、期間を定めて機器の性能をより詳しく調べ、次の定期点検までの故障発生の予防を目的として実施します。 点検内容は前述の日常点検項目A)~D)に加え、センサの感度校正が重要となります。
 E)感度校正―酸素濃度計以外の検知警報器では、校正用ガス(スパンガス)を使ってそのガス濃度を測定器の指示に合わせ、センサの感度を調整します。これは、センサの感度が時間の経過や温度・湿度などの環境条件によって相対的に変化するためであり、校正ができない時は新しいセンサに交換し、測定の正確さを確保します。

ここでは代表的な点検項目を挙げました。実際の保守点検内容につきましては、各々の取扱説明書に記載された項目に基づいて点検を行ってください。

ガス校正キットCK-2を用いたガス検知警報器の校正
ガス校正キットCK-2を用いたガス検知警報器の校正
Q86.

計測器に市販の単3形・単4形の充電式電池を使用することができますか?

A86.

当社製品の防爆電気機器は、使用する電池の種類を指定しておりますので、アルカリ・マンガン乾電池以外は使用することができません。防爆品以外の機器の場合は使用することができますが、その際には注意が必要となります。現在市販されている充電式のニッケル水素・ニッカド電池は、当社が使用を指定しているアルカリ・マンガン電池とは放電電圧特性が異なり、平らな特性を示し、末期では急激な電圧低下が発生します。そのため、機器に電池残量が正しく表示されず、場合によってはご使用途中で電池がなくなる場合もございます。

Q87.

長期間(1ヶ月以上)ガス警報器・測定器を使いません。保管及び再び使い始める際の注意点はありますか?

A87.

ガスセンサは、アルコールや有機溶剤蒸気などに曝されると故障の原因となります。清浄な空気中に保管してください。また過放電により乾電池の液漏れが発生する場合もありますので乾電池を取り外して保管してください。再び使用し始める時には、電池を本体にセット後、センサのゼロ点が安定するまで放置しその後、点検・調整を行ってください。

Q88.

ガス警報器・測定器の表示部が汚れているので、洗剤・アルコールなどでの拭き取りや水洗いをしてもいいですか?

A88.

ガスセンサ及び本体が故障する可能性があるので、絶対に洗剤・アルコールなどでの拭き取りや水洗いは行わないでください。汚れがひどい場合は、水に濡らした布などを固く絞り汚れを拭き取る程度の清掃を行ってください。
また、最近ではインフルエンザ対策として手指の消毒にアルコールを含む消毒剤を使用することがありますが、アルコールの残った手でガスセンサに触れた場合にも性能が劣化する恐れがあり、故障の原因となります。アルコール消毒した後に測定器を使用する場合は、ガスセンサに触れないように注意してください。

Q89.

携帯形ガス検知警報器の耐用年数はどれくらいでしょうか?

A89.

ガスセンサやフィルタ、吸引ポンプ、電池などの寿命のある部品を都度交換し且つ定期的な点検を行っていても、検知警報器が使用される環境は一般的な電気機器に比べ特殊かつ過酷であり、持ち運ぶことによる環境変化の影響も大きいため、携帯形ガス検知警報器の妥当な耐用年数は5年程度とお考えください。産業用ガス検知警報器工業会発行の保守点検規格においても携帯形・装着形ガス検知警報器の妥当な耐用年数は5年とされております。

参考:産業用ガス検知警報器 保守点検規格 7.2項

Q90.

ガス検知警報器はどのくらいの範囲のガスを検知しているのですか?

A90.

熱線式、電気化学式、光学式など様々な検知原理のセンサによりガスを検知するものがありますが、どのような検知原理のものでも拡散式の場合はガス検知部、吸引式の場合には吸引口の近くに存在するガスだけを検知しています。このような特性のものであるため測定環境の広さ、深さや測定対象のガスの比重など考慮し複数個所の測定を行うことが必要になります。例えば、作業環境測定基準 第十二条(酸素及び硫化水素の濃度の測定)では酸素欠乏危険場所の濃度分布状況を知るためには5点以上測定することが規定されています。

参考:産業用ガス検知警報器 保守点検規格 5.5.2項a)

Q91.

ガス検知警報器を調整(校正)するのに試験・校正用ガス濃度の推奨値はありますか?

A91.

調整は2点校正(0調整とスパン調整)になりますので指示範囲に対して低い濃度や指示範囲の上限に近い濃度で校正した場合には警報点付近の誤差が大きくなります。通常は警報設定濃度の1.6倍(毒性ガスの場合は2倍の場合もある)濃度のガスや警報設定値付近、又は指示範囲の最大濃度の1/2付近のガスで行ってください。

参考:産業用ガス検知警報器 保守点検規格 附属書A A.3.2項

Q92.

酸素・毒性ガス検知警報器GOT-110B-2を使っております。酸素センサと硫化水素センサの交換時期の目安を教えていただけないでしょうか。

A92.

1年毎のセンサの交換を推奨しております。警報器のセンサは、使用の有無に係わらずに経時により劣化が進行し、出力が低下します。GOT-110B-2では、酸素
センサ、および硫化水素センサどちらも1年間のメーカー保証となっており、正しく取り扱えばこの期間、出力下限を下回ることなく使用することができます。1年を超えて使用すると保証範囲外となり、センサの交換が必要となります。
なお、高温、または極端な低湿・高湿環境などの過酷な環境下で使用や保管を続けた場合、センサの劣化が早まり、場合によって1年未満でセンサの交換が必要となることがあります。高温下では、酸素センサにおいて電極反応が過大に進行して電極での生成物量が増大し、硫化水素センサでは電極の劣化が進行します。また、低湿環境下では、酸素・硫化水素センサ共に電解液が減少しセンサの劣化が進行します。
センサが劣化すると、日常点検で実施するゼロ調整で指示が安定しなくなり、さらに月1回の定期点検で行うスパン校正の際、指示が校正用ガス(スパンガス)の濃度まで上がらなくなります。これらの点検を確実に行うことでセンサの寿命を監視し、正確な測定が維持できるように留意します。

Q93.

一酸化炭素検知警報器CM-9Aの保守点検で、指示値の調整(スパン校正)を行おうと取扱説明書を読みました。説明書には、「校正」スイッチを押してから校正用ガスをセンサにあてると書かれていますが、先にガスをセンサにあてて「校正」スイッチを押しても、指示値の調整はできますか。

A93.

指示値の調整を行う時は、必ず「校正」スイッチを押し続け、校正の待機状態となってから、ガスをセンサにあててください。先にガスをセンサにあてると指示値の調整を正しく行うことができません。
校正の待機状態になると、センサ出力のモニタリングが開始されます。モニタリング中は、あらかじめ決められた時間内で、一酸化炭素ガスがない時(0ppm)から校正用ガスがあてられた時(標準仕様は80ppm)までのセンサ出力の安定性を確認しています。出力が安定していれば、指示値は自動で校正用ガスの濃度に調整され、不安定な場合は、表示部にエラーメッセージが表示されますので、その際は新しいセンサに交換します。
先に校正用ガスをセンサにあてると、ガス濃度の変動がない状態で、センサ出力のモニタリングが行われます。この場合、経時劣化したセンサでも出力が安定していると判別されることがあり、エラーメッセージが表示されません。そのまま使用すると誤った測定値となり、正確な一酸化炭素濃度の監視を行うことができません。このため、先に「校正」スイッチを押してから、ガスをセンサにあてて校正を行います。

Q94.

一酸化炭素測定器のガス校正(スパン校正)の頻度を教えてください。
定期メンテナンスの頻度についても教えてください。

A94.

スパン校正は測定器の精度維持のため1か月に1度、定期メンテナンスは6か月に1回以上の実施を推奨しています。
スパン校正とはセンサに校正用ガスをあてながら校正用ガス濃度が正しく表示されるように調整することをいいます。
ガステック製品については当社製の校正キットを使用することで、お客様ご自身で校正が可能です。
定期点検は、メーカー並びに関係メンテナンス会社や委託された検査会社、または保守管理の力量のあるご使用者が実施いたします。

<製品のメンテナンスに関するお問い合わせ先>
株式会社ジーセルビス
〒252-1107 神奈川県綾瀬市深谷中8-8-6
TEL:0467-79-3919/FAX:0467-70-6609

防爆構造について

Q95.

防爆測定機器はどのような場所で必要なのでしょうか?

A95.

労働安全衛生法および労働安全衛生規則により、爆発、火災が発生する濃度に達するおそれのある箇所において使用する電気機器は防爆構造電気機器でなければ使用できないとされています。

石油プラント、化学工場、可燃性ガスやガソリンなどの取扱場所、塗料や溶剤洗浄を行う場所、これらの物を保管する場所など、爆発や火災が発生するおそれのある工場や事業所で必要になります。
国内のこのような場所では、海外で防爆認定を受けている製品であっても厚生労働省指定の型式検定代行機関である(社)産業安全技術協会の検定に合格し、認定された測定器でなければ使用することは出来ません。
防爆測定機器の図

存在するガスの種類、爆発性雰囲気の存在する時間、頻度に応じて必要とする防爆構造が異なってきます。
当社の携帯形酸素濃度指示警報計(型式:GOA-6H-S)の場合、防爆性能はi2G3となり本質安全防爆構造、爆発等級2、発火度G3となります。GOA-6H-Sは石油精製工場や石油化学工場等様々な場所で幅広くご使用いただいております。
お客様の用途に応じた測定器をご使用ください。

Q96.

防爆電気機器であれば爆発性ガスが存在するどのような場所でも使用することができるのでしょうか?

A96.

防爆電気機器は危険場所での使用に適するように設計されていますが、対象となる爆発性ガスの種類や使用条件を特定することで防爆性能を保証しております。対象ガスおよび使用環境に適した防爆性能を備えた機器をご使用ください。

Q97.

アルカリ・マンガン一次電池の使用が指定されている防爆電気機器に充電式ニッケル水素電池を使用しても問題ないでしょうか?

A97.

防爆電気機器は電池を含めて防爆性能を設計、試験、検定しているものです。機器本体及び取扱説明書に記載されている以外の電池電源を使用した場合には着火源となる可能性があり、防爆性は保証され ません。

Q98.

電源を切っていれば防爆電気機器が使用される場所に携帯電話や携帯形の非防爆電気機器を持ち込んでも問題ありませんか?

A98.

機器内部には着火エネルギー源となる電池が内蔵されています。防爆の技術的な対策が施されていないと電源を切っていても着火源となる可能性があるため持ち込むことはできません。

Q99.

防爆機器が破損しました。ユーザーが修理して使用することができますか?

A99.

防爆機器は機器の構造、材料、部品の全てを含めて防爆性能を確立しているものです。メーカ指定の消耗品であるフィルタやセンサの交換、電池の取り替え以外での修理は防爆性能が損なわれる場合がありますので修理は必ずメーカへ依頼してください。

Q100.

外国で検定(認定)された防爆電気機器であればそのまま国内で使用しても問題ありませんか?

A100.

日本国内で使用する防爆電気機器の場合には国内法令により日本の検定に合格したものでないと使用することができません。

ガスセンサについて

Q101.

ガスセンサにはどのようなものがありますか?

A101.

代表的なものとして、化学反応を利用した定電位電解式・ガルバニ電池式・ジルコニア式、化学反応と物理現象を組み合わせた接触燃焼式、物理現象を利用した半導体式・熱線形半導体式・熱伝導度式・赤外線吸収式・紫外線吸収式等のセンサがあります。

Q102.

それぞれのセンサは、どのような目的・用途に使われていますか?

A102.

定電位電解式センサは、対象ガスが豊富で生活環境や作業環境における一酸化炭素や窒素酸化物の測定器から半導体製造工場での特殊材料ガスの測定器や警報器まで幅広く用いられています。
ガルバニ電池式・ジルコニア式センサは、主に酸素センサとして、酸素欠乏危険作業場所における酸素欠乏事故防止を目的とした測定器、検知警報器に用いられています。
接触燃焼式センサは、水素・一酸化炭素・炭化水素・有機溶剤等の可燃性ガスセンサとして、これらのガスや溶剤を取り扱う現場で発火・爆発事故防止を目的とした検知警報器に用いられています。
半導体式・熱線形半導体式センサは、可燃性ガスおよび毒性ガスセンサとして、これらを取り扱う現場での発火・爆発事故や中毒事故防止のための測定器、検知警報器に用いられています。
熱伝導度式センサは、二酸化炭素・水素・メタンなどが比較的高濃度にある場所で、二酸化炭素では酸素欠乏事故防止、水素・メタンなどは発火・爆発事故防止を目的とした測定器、検知警報器に用いられています。
赤外線吸吸式センサは、一酸化炭素・二酸化炭素や炭化水素等、生活環境や作業環境の測定器から燃焼系の排ガス分析器まで幅広く用いられています。
紫外線吸収式は、二酸化硫黄・窒素酸化物等の大気汚染物質等の測定器・分析器に用いられています。

Q103.

一酸化炭素ガスや硫化水素ガスを検知する定電位電解式センサではどのようなガスにより干渉を受けますか?

A103.

干渉ガスとして、還元性ガス、有機溶剤、酸化性ガスなどがあります。
還元性ガスや有機溶剤によりプラスに干渉し、酸化性ガスでマイナスに干渉します。
測定器の濃度表示に与える影響の一例は下表の通りです。

一酸化炭素 CO-604Eセンサの場合
干渉ガス 干渉の程度
CO 1ppmに等価なガス濃度
水素(H2) 15ppm
二酸化窒素(NO2) -1ppm
二酸化硫黄(SO2) 1ppm
一酸化窒素(NO) 6ppm
硫化水素(H2S) 0.2ppm
メタノール 4ppm


硫化水素 H2S-604Eセンサの場合
干渉ガス 干渉の程度
H2S 1ppmに等価なガス濃度
水素(H2) 77ppm
二酸化窒素(NO2) -4ppm
二酸化硫黄(SO2) 5ppm
一酸化窒素(NO) 23ppm
一酸化炭素(CO) 4ppm
メタノール 8ppm

 
Q104.

測定器にセンサエラーのメッセージが表示されました。どうしたらよいでしょうか?

A104.

センサが正しくセットされていない、センサ交換・電池交換後でセンサが安定していない、センサの異常・寿命などが考えられます。取扱説明書に従って、処置を行ってください。
※測定器によっては大きな警報音が鳴ります。

Q105.

ガス検知警報器のセンサ交換時期の目安を教えてください。

A105.

センサの種類により交換時期は異なり、通常は1~2年で交換を推奨しております。詳細は、各測定器の取扱説明書をご参照ください。
ガス検知警報器のセンサは、使用の有無に係わらず、時間の経過や使用環境により感度が劣化し出力が低下します。
より正確な交換時期を知るには、日常点検や定期点検にて検知及び警報に係る検査を行い正常に作動することを確認し、センサ出力が低下していれば交換します。

使用方法について

Q106.

酸素計を保管する場合、センサ本体に接続したままだと、センサ寿命に影響がありますか?

A106.

本体に接続したままでも、また外した場合でもセンサ寿命は同じです。

Q107.

取扱説明書で「新鮮な空気中で指示値を21%に合わせます」と書いてあります。「新鮮な空気中」を具体的に教えてください。

A107.

酸素欠乏や過多状態のない場所で,平地での大気とお考えください。
通常、大気中には約21%の酸素が存在しています。
これを校正用ガスとして用い、指示値を21%に合わせます。

Q108.

酸素計の動作テストを簡単に行う方法を教えてください。

A108.

呼気によるテストがあります。
人は通常、呼気として15~16%程度の酸素を排出します。
従ってセンサに息を静かに吹きかけると酸素計の指示はゆっくりと下がり、吹きかけをやめると21%に戻ります。
これで動作は正常です。

Q109.

スパン調整ツマミで23%以上の指示値を示せば、センサ交換の必要はありませんか?

A109.

23%以上でも使用開始から1年(K型は6カ月)を経過していればセンサ交換が必要です。そのまま使用すると指示精度が悪くなったり、応答時間が遅くなる場合があります。

Q110.

酸素計GO-25C-2を使用しています。センサの交換時期について教えてください。

A110.

ご購入後1年が経過したものについては寿命と判断し、センサ交換をしてください。また1年以内であっても次のような場合には交換する必要があります。

・新鮮な空気中で21%調整をしたとき、スパンを右いっぱいに回しても23%以上指示しない。
・21%調整後、指示が安定しない。(電波障害等は除く)。
・21%調整後の呼気による動作確認において、呼気を曝露したときに指示が下がらない場合、または大気中に戻したときに21%に復帰しない場合。

Q111.

酸素計GO-25C-2を使用して高温場所(40~60℃)の酸素濃度を測定したいのですが問題はありませんか?

A111.

原則的には測定に使用することができません。
本器の使用温度範囲は0~40℃です。40℃以上の測定では「手動式サンプラ」を使用し、ガス温度を40℃以下にします。
詳細についてはお問い合わせください。

Q112.

酸素計GO-25C-2を使用して二酸化炭素(5~10%)中の酸素濃度を測定したいのですが問題はありませんか?

A112.

原則的には測定に使用することができません。
この酸素計のセンサは、電解液にアルカリ性試薬を使用しているため、連続測定を行うとセンサの性能を劣化させ、使用不可能となります。
一時的に2~3分の測定を行う場合には差し支えありません。
このような二酸化炭素濃度が高い場合には、センサの電解液に酸性試薬を使用した酸素計(GOA-25K)をご使用ください。

測定方法について

Q113.

酸素濃度測定の目的は?

A113.

通常の酸素濃度は21%です。
酸素欠乏とは空気中の酸素濃度が18%未満である状態をいい酸素欠乏症の症状は一般的には16%くらいから自覚症状があらわれ低濃度になるほど症状は重く10%以下では死の危険が生じてきます。
酸素欠乏状態は人間の感覚では感知できず酸素濃度測定器による測定が唯一の方法です。
酸素欠乏による災害を防止するためにはまず作業場所の酸素濃度を正確に知ることが重要です。

Q114.

酸素欠乏状態の発生しやすい場所はどんなところですか?

A114.

1.マンホール・発酵タンク・果菜貯蔵庫・サイロ・井戸・ずい道(生物学的酸素消費や土中の鉄分の酸化)
2.貯蔵タンク製造設備(爆発や火災を防止するために窒素等を空気の置換に用いる)
3.橋脚・わき水の多い地盤でのビルの基礎工事・地下鉄工事等圧気工法を行う場所等があります。

Q115.

酸素欠乏場所ではどのように測定しますか?

A115.

酸素濃度測定器(GOA-6H等)を用いて垂直方向および水平方向にそれぞれ3点以上測定する必要があります。
タンク・マンホールなど測定場所まで垂直方向に距離があるときは延長コードを使用して測定します。
ずい道・下水道など水平方向前方の測定は延長棒を併用します。危険ですから保護具の装着なしに測定場所に立ち入らないようにしてください。
また酸素欠乏危険作業主任者技能講習を終了した作業主任者でなければ,酸素欠乏場所での酸素濃度の測定を行うことは出来ません。

使用方法について

Q116.

硫化水素計には、どのような種類がありますか?

A116.

さまざまな種類があります。目的別に分けますと以下の通りです。

1.個人装着用で小型のポケットタイプ。
2.作業環境測定用の携帯形。
3.酸素、硫化水素、可然性ガス同時測定の複合形。
4.常時監視目的の定置形。
5.脱臭装置の効率検査のための専用機。

Q117.

硫化水素計の国内規格がありますか?

A117.

JIS T 8205硫化水素計があります。性能、構造、試験方法等 が定められています。

Q118.

硫化水素計はガス校正が必要と言われていますが、その理由はなぜですか?

A118.

センサ感度が月日の経過とともに変化するためです。計測器によるガス測定は、ほとんどの場合、校正用ガスを用いて定期的に校正し、測定を行うことが正しい測定結果を得る基本です。

Q119.

装着形(型式HS-2B)の硫化水素計ですが、半年間使用しません。保管方法を教えて下さい。

A119.

1.温度5~35℃、相対湿度30~85%程度の室内が適します。
2.センサは取り付けたままでかまいません。
3.電池は1ヶ月以上使用しない場合、液洩れのおそれがありますので抜いておきます。

Q120.

硫化水素計のガス校正の基本を教えて下さい。

A120.

以下の手順が基本です。

1.清浄空気中で指示をゼロに合わせます。
2.校正用ガス濃度は機器の測定範囲の中心付近からフルスケールの間の濃度を用意します。
3.校正用ガスをガスバッグに入れます。
4.バッグ中の校正用ガスを指示が安定するまで流し続け、指示を校正用ガス濃度に合わせます。
なお、ガス校正を容易に行うため、「硫化水素校正用ガス発生キット」及び拡散式の硫化水素計に校正用ガスを供給するための「自動ガス供給セット」を用意しています。

Q121.

携帯形硫化水素濃度指示警報計「HS-6A-S」の校正を行なう際、校正用硫化水素発生キットで発生させた後校正を行っています。より簡単に校正を行いたいのですが一酸化炭素や可燃性ガスのようなプッシュ缶は無いのでしょうか?

A121.

硫化水素ガスは腐食性ガスであり簡易なプッシュ缶ではガス濃度が維持できないためです。現時点で校正に用いることができる硫化水素ガスは、校正用硫化水素発生キット(HSC-10)によるガス発生又は「高圧ガス保安法」の規制対象となる高圧容器詰めガスとなります。

校正用硫化水素ガス発生キットHSC-10
校正用硫化水素ガス発生キットHSC-10

測定方法について

Q122.

硫化水素測定の目的は?

A122.

硫化水素は0.03ppmというきわめて低い濃度でも俗に卵の腐ったにおいと形容される特有の臭気を感じます。
硫化水素の許容濃度は10ppmで、20~30ppmの濃度になると嗅覚疲労で次第に臭気を感じなくなり、700ppm以上の高濃度では瞬間的に嗅覚が麻痺してしまい、臭気を感じることなく意識を失って死に至ります。
硫化水素による災害を防止するためには、まず作業場所の硫化水素濃度を正確に知ることが重要です。

Q123.

硫化水素発生のしくみと発生しやすい場所はどんなところですか?

A123.

硫化水素は自然界では火山ガスや温泉などから空気中に放出されていますが、一方自然界の硫酸や硫酸塩を分解・還元して、その酸素を利用している硫酸還元菌の活動で常に生成されています。
この菌は、酸素欠乏状態の地中、河川、湖沼、港湾等の汚泥中、下水沈澱物中、ときには工場の製造工程(パルプ工場等)において硫酸や硫酸塩を唯一の酸素の供給源として繁殖しており、この菌の活動で硫化水素が発生します。

Q124.

硫化水素中毒を防止するには硫化水素をどのように測定しますか?

A124.

測定は検知管方式による測定、または定電位電解法の原理を応用した硫化水素計で行います。
垂直方向および水平方向にそれぞれ3点以上測定する必要があります。
タンク・マンホールなど測定場所まで垂直方向に距離があるときは延長コードを使用して測定します。
ずい道・下水道など水平方向前方の測定は延長棒を併用します。
危険ですから保護具の装着なしに測定場所に立ち入らないようにしてください。
また、第2種酸素欠乏危険作業主任者技能講習を終了した作業主任者でなければ、硫化水素濃度の測定を行うことはできません。

Q125.

第2種酸素欠乏危険作業場所における硫化水素の濃度を測定するための測定器は、どんなものが規定されていますか?

A125.

作業環境測定基準第12条で、”検知管方式による硫化水素検定器またはこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いて行うこと”と規定されています。
検知管方式による硫化水素検定器については、JIS T 8204「検知管式硫化水素測定器(測長形)」に、同等以上の性能を有する測定機器については、JIS T 8205「硫化水素計」に規定する性能等が要求されます。
硫化水素計には、その検知原理から、定電位電解式、隔膜イオン電極式、隔膜ガルバニ電池式などがありますが、現場用硫化水素計としては、もっぱら定電位電解式が使用されています。

Q126.

定電位電解式の硫化水素計を使用する際の主な留意事項は?

A126.

操作方法等は、機種によって異なりますので、使用前には必ず取扱説明書をよく読んで、取り扱いに習熟しておく必要があります。
最も重要な留意事項は、センサの管理です。定期的(通常は一ケ月に一度程度)に、既知濃度の硫化水素の校正用ガスを準備して校正(スパン校正)を行い、正確な測定を維持するように留意します。
校正の結果、指示が校正ガス濃度まで上がらなかったり、応答が極端に遅くなったりした場合はセンサの寿命ですので新しいセンサに交換します。センサ交換した場合は当然、校正を行います。

下水道施設管理用について

Q127.

下水道施設におけるコンクリート腐食が問題になっていると聞きましたが、そのメカニズムについて教えてください。また、対応策はありますか?

A127.

下水道施設に対する腐食の機構には微生物の関与があり、次のような段階を経由してコンクリートが腐食されます。

生活排水や工業排水、火山等からの硫黄成分が含まれている下水中には、硫酸イオン(SO42-)が存在し、下水施設内で酸素がほとんど無い状態(嫌気性状態)になると、硫酸塩還元菌によって還元され、硫化水素(H2S)を生成します。
この後、液相から気相へ硫化水素ガスが放散され、コンクリート壁面に付着します。付着した硫化水素は、結露水中で硫黄酸化細菌により酸化されて硫酸(H2SO4)となり、コンクリートを腐食させます。
詳細なメカニズムについては、図-1 下水道施設に特有なコンクリート腐食の概念図(管きょ断面をモデルにして)を参照ください。
このように、下水道と硫化水素には密接な関係があり、腐敗や嫌気性状態になると大量の硫化水素が発生し、下水道施設に対して腐食による劣化と悪臭の問題を生じます。その対策は、維持管理上特に重要とされており、硫化水素測定器を用いた連続モニタリングで発生状況を把握することが有効です。
なお腐食の進行度は、その場所の環境要因(気相および液相中の硫化水素濃度、気温、水温、湿度、pH、流水の乱れ)が複雑に絡み合っています。気相中の硫化水素ガスと劣化速度の関係について、日本下水道事業団の調査では、平均硫化水素ガス濃度が10ppmの場合は約6mm/年、100ppmの場合は約10mm/年と計算されています(図-2 平均硫化水素ガス濃度と腐食速度)。


下水道関連図1,2
Q128.

拡散式硫化水素測定器GHS-8ATを使用していますが、付属ソフトウェアは Windows7 64bit版で動作しますか?

A128.

動作します。動作可能OSはWindows7 32bit,64bit/WindowsVista 32bit,64bit/WindowsXPになります。

GHS-8ATを使用するには付属ソフトウェア「アナシス」と測定器本体のデバイスドライバーをパソコンにインストールする必要があります。
「アナシス」の最新バージョンは下記のURLに公開されていますので、ダウンロード後インストールを行なってください。
http://gastec-soft.com/anasys/
デバイスドライバーはMicrosoft Windows Updateから配布されていますので、オンラインの環境ならば測定器本体をパソコンに接続することで自動認識しインストールすることができます。

Q129.

拡散式硫化水素測定器「GHS-8AT」を使用しています。センサを100ppm仕様から500ppm仕様に変更しましたが100ppm用の校正キットしかなかったため、硫化水素濃度30ppmで校正を行いました。どのような影響がありますか?

A129.

500ppmの測定範囲に対して30ppmという低い濃度で校正を行うと、高い測定濃度域で測定誤差が大きくなります。校正は測定範囲の中心付近で行うことをお奨めします。

GHS-8AT

可燃性ガス測定器について

Q130.

可燃性ガス検知警報器のカタログに『防爆構造』という記載がありました。
この言葉の意味を教えて下さい。

A130.

『防爆構造』とは爆発性ガスと空気が混合し、爆発限界内にある状態の雰囲気が存在するおそれのある場所に検知器を設置しても、これが点火源となって爆発等の事故が発生しないように、機器に防爆性をもたせてある構造のものをいいます。
防爆構造は6種類に分類され、可燃性ガス検知警報器のガス検知部には『耐圧防爆構造』、検知器本体には『本質安全防爆構造』が適用されています。

防爆構造の種類 定義
耐圧防爆構造 全閉構造の容器内部で爆発性ガスの爆発が起こった場合に容器がその圧力に耐え、かつ外部の爆発性ガスに引火する恐れのないようにした構造
本質安全防爆構造 正常時及び事故時に発生する電気火花または高温部により爆発性ガスに点火し得ないことか、点火試験その他によって確認された構造

JIS C 0903「一般電気機器の防爆構造通則」

Q131.

可燃性ガス検知警報器の濃度表示で『%LEL』と『VOL%』との関係を教えて下さい。

A131.

可燃性ガスと空気の混合ガスに点火した時、可燃性ガス濃度がある値以上になると炎が連鎖的に伝播し、ガス爆発を起こします。
この濃度を爆発下限界(LEL(Lower Explosion Limit))といい、通常『VOL%』であらわします。
例えば、水素の爆発下限界濃度は4VOL%ですので、この濃度を100%LELとし、2VOL%であれば50%LELとなります。

Q132.

可燃性ガスが数種類混在し、その組成や濃度が一定でないようなときは、爆発等の事故が発生しないように、検知警報器を使用してどのような管理をすることができますか?

A132.

接触燃焼式検知警報器は、混合ガスであっても混合ガスの爆発下限界濃度に対する割合を正しく指示します。
従って、単独ガスの指示値と同じように、爆発に村する危険度管理が行えます。

Q133.

プロパンが主成分ガスの爆発・火災防止に携帯形可燃性ガス検知警報器「MA-2510」を使用しています。校正を行なう際にイソブタンのプッシュ缶を使用していますが、プロパンで校正を行わなくても良いのでしょうか?

A133.

測定原理が接触燃焼式によるためメタンガス以外の可燃性ガスに対してほぼ等しく爆発下限界までの%LEL値を示します。このためイソブタンで校正したものをプロパンの測定にも使用できます。またメタンガスを測定する場合にはメタンガス専用の検知警報器をご使用ください。

自動ガス採取装置について

Q134.

自動ガス採取装置GSP-300FT-2は検知管にしか使用できませんか?

A134.

いいえ違います。自動ガス採取装置GSP-300FT-2は、専用の検知管に使用することも可能ですが、各種捕集管類の捕集用としてもご利用いただけます。

当社製品の、「活性炭チューブ258・251S・251S2、シリカゲルチューブ252S・252S2」はもとより、他社の様々な捕集管を用いた気体捕集にご使用いただけます。作業環境測定や研究等、様々な現場でご活用ください。
GSP-300FT-2の図
Q135.

自動ガス採取装置GSP-400FTの購入を検討しているのですが、GSP-300FT-2とはどう違うのでしょうか?

A135.

GSP-400FTは有害大気汚染物質の測定に用いる採取装置として開発しており、GSP-300FT-2は主に作業環境測定・室内環境測定に用いることを目的としております。
GSP-300FT-2の流量設定範囲は、作業環境測定・室内環境測定に対応可能である50~250mL/minとなっておりますが、GSP-400FTは50~1000mL/minの幅広い流量設定が可能で、使い分けをせずに有害大気汚染物質測定法マニュアルに定められているホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酸化エチレン、酸化プロピレン、水銀及びその化合物の捕集管への試料採取が可能です。
ただし、お客様がご使用になる場合には、その他にも様々な用途への応用が考えられます。
例えば、弊社製品の連続吸引式検知管(作業環境測定用・室内環境測定用・大気環境測定用等)も吸引可能であり、また、これまでAGS-1でのみ吸引可能であった悪臭測定用検知管3S(アンモニア)、4S(硫化水素)、124S(スチレン)についても吸引が可能となっております。
その他、作業環境測定用の捕集管類等にも使用できます。用途に応じてご使用ください。

Q136.

自動ガス採取装置GSP-400FTは、作業環境測定用の検知管や捕集管にも使用できますか?

A136.

自動ガス採取装置GSP-400FTは、作業環境測定や室内環境測定等の各種用途の連続吸引式の検知管、ならびにシリカゲルチューブ等の各種の固体捕集管いずれにも使用することができます。

Q137.

自動ガス採取装置GSPシリーズの流量校正の頻度を教えてください。

A137.

約1か月の頻度にて定期的に校正することを推奨しております。
精密膜流量計などの市販の流量計をご用意の上、校正を行います。

Q138.

自動ガス採取装置は、サンプリング体積(積算値)に関して温度・気圧の補正をする必要はありますか?

A138.

GSP-500FT、GSP-400FT、GSP-300FT-2等について、積算体積を25℃または20℃、1013hPa(標準気圧)における値で取扱う場合には補正は不要で、一方、実環境の温度・気圧における値で取扱う場合には、補正が必要になります。

GSP-500FT等の自動ガス採取装置では流量センサーにて単位体積当たりの空気の分子の量(分子数)を計測し、吸引量を制御しています。単位体積当たりの空気の分子数(質量)は、温度と気圧が指定されれば固有の値を示します。
例えば、GSP-500FTおよびGSP-400FTでは、25℃または20℃、1013hPaにおいて単位体積当たりの分子数が吸引されるように設定されています(25℃または20℃から選択可能です)。GSP-300FT-2およびGSP-311FTでは20℃、1013hPaで設定されています。
したがって、周囲環境の温度・気圧が変化しても、常に固定された量のガスが吸引され、周囲環境の影響を受けることはありません。
結果として積算値は、周囲環境によらず25℃または20℃、1013hPaでの値となります。
一方、ガスの体積は周囲環境の温度・気圧により変化しており、実際の吸引体積は、積算値の表示値と異なることがあります。
例えばガスの定量分析において質量濃度(mg/m3等)を算出する際、これを25℃または20℃、1013hPaにおける値として表記する場合には、GSP-500FT等の自動ガス採取装置の積算値を、捕集体積としてそのまま利用できます。

校正用ガス調製装置について

Q139.

パーミエーターを用いて様々な有機溶剤蒸気を発生させたいと考えています。 カタログに記載されている物質以外の蒸気の発生は可能でしょうか?

A139.

基本的には、パーミエーターを使用し、ディフュージョンチューブを用いた場合に「25℃~50℃の温度で6.67~533.29hPaの範囲の蒸気圧を有し、安定した高純度の有機溶剤」であれば校正用ガスの発生が可能です。 ただし、吸着力の強いもの等、物性によっては発生が難しいものもあります。また、更に低濃度の有機溶剤蒸気の発生にはパーミエーションチューブでの発生が可能な場合もありますので、記載されていない物質や濃度の校正用ガス発生に関しては弊社までお問い合わせください。その他、高沸点の物質に関しては「高沸点有機物定濃度ガス発生装置PD-230」が有効です。

Q140.

パーミエーターを使用し、空気ボンベから希釈用ガスを供給し有機溶剤の校正ガスを発生しています。発生を終了する時に希釈用ガスの供給を停止しても良いのでしょうか。

A140.

ガス発生の終了時すぐには希釈用ガスの供給を止めず、拡散管やパーミエーションチューブをホルダに入れたままにせずに必ず取り出し、その後、希釈用ガスを1L/min程度の流量で3~5分間流し続けて経路を十分に置換してから停止します。
校正ガスの発生中にパーミエーターのホルダや経路に発生ガスが吸着することがあるため、発生を終了する時には発生源となる拡散管やパーミエーションチューブを取り出した上で希釈用ガスの通気を続け、これらを除去する必要があります。
なお、蒸気圧が低く揮発しづらい物質や物理的吸着性の高い物質のガスを発生させた場合、また、臭気の強く残る場合には置換の期間を延長し、2~3日間またはそれ以上の長期間、置換を続けることをお勧めいたします。この場合、希釈用ガスを高流量に設定すれば置換の効果は上がりますが、200mL/min程度の低い流量であっても置換は可能です。

Q141.

パーミエータで調製したガスを加湿する場合はどうしたらいいですか?

A141.

お客様にて、ガス洗浄瓶・バブラー等の容器を別途ご用意の上、これに水を入れてパーミエーターの流路から希釈用ガスを連続的に通気することで、飽和水蒸気ガスを調製することができます。
詳しくはお問い合わせください。

Q142.

パーミエーターのガス出口が1流路当たり2ヵ所ありますが、どの様に使用するのでしょうか。片方を塞いでもよいのでしょうか?

A142.

片方はガス採取口として、もう一方は発生させたガスを除去する器具(筒など)の接続用として使用します。
ドラフト等の排気・除害装置が設置された環境での使用など、除去筒が不要であり、かつ、採取口と排気経路を分ける必要がない場合には、一方を塞いで使用することも可能です。
片方を塞ぐ場合には、配管チューブ(外径6mm)にフィットするキャップ等をご用意の上、栓をします。

Q143.

パーミエーターで以前に発生させたガスによる、パーミエーター内のホルダや配管等の通気経路の汚染を洗浄する方法はありますか?

A143.

一般的には清浄な乾燥した窒素や空気を連続的に通気することで、経路を洗浄することができます。
通気する時間は汚染の度合いによりますが、流量の最小設定値(200mL/min)にて数日間通気すれば、大抵の汚れは取り除かれます。流量を上げるとより効果的です。

パーミエーションチューブ・ディフュージョンチューブについて

Q144.

トルエンパーミエーションチューブ P-122-Hとパーミエーター PD-1Bを用いてトルエンの標準ガスを発生しています。トルエンのガスはパーミエーションチューブのどの部分から発生しているのでしょうか。また、チューブをパーミエーターのホルダに出し入れする際には、チューブのどの部分を持って行えば良いのでしょうか。

A144.

トルエンのガスは、パーミエーションチューブの上側と下側に差し込まれているステンレス止め具に挟まれた部分(有効長部分)のチューブ表面全域から発生しています。従いまして、ステンレス止め具より手前部分のチューブ両端からはガスは発生せず、容器から取出す際や保持用カゴに移す際にはこの部分をつまんで行います。
パーミエーションチューブにはプラスチックのチューブが使われ、これに高純度の物質が封入されています。チューブ内外の濃度差に起因して、チューブの管壁をガスが通過し外部へ移動し発生します。発生量は温度により変化するため、パーミエーターのホルダ内の温度を一定に維持して、安定的に一定濃度ガスを発生させます。
発生を続けると、チューブ内の液量が減少しますが、多くのパーミエーションチューブでは、有効期限内であれば、有効長の約1割に液量が減少するまで発生量は低下しないことが分かっております。すなわち、この下限量までは、チューブの有効長部分の全域から均一にガスが発生します。

Q145.

「保存条件25℃以下」と記載されてるパーミエーションチューブを冷蔵庫や冷凍庫に保管しても良いですか?

A145.

「保存条件25℃以下」と記載されているパーミエーションチューブでも冷蔵庫(10℃以下)または冷凍庫(-5℃以下)に保管することが可能です。
パーミエーションチューブを保管する時にはチューブから発生するガスの量を抑える必要があり、温度が下がると発生量が減少するので、低温にてチューブを保管します。常温で液体や固体の性状を有する物質(トルエンや二硫化ジメチル等)が封入されたチューブでは発生量が少ないため、常温以下の温度に保管することで十分に発生ガス量を抑えることができますが、更に温度を下げて冷蔵庫や冷凍庫に保管することも可能です。一方、沸点が低く、常温で気体の性状を有する物質が封入されているチューブ(硫化水素やアンモニア等)では、ガスの発生量が多いため、冷凍庫で保管する必要があります。

Q146.

パーミエーションチューブはどのように廃棄すればよいでしょうか?

A146.

局所排気装置内でパーミエーションチューブの中身を揮発させ、完全に空にしてから廃棄します。
具体的には、パーミエーションチューブ(以下P-tube)をP-tube保存容器に入れ、中間容器から吸着剤の中身を取り出して、保存容器の口元まで入れ、栓をします。P-tube内液化ガスがなくなるまで室温に保管します。ガスは容器内吸着剤に吸着されます。液化ガスがなくなった管はプラスチック廃材として処理してください。
容器内の吸着剤についても適切に廃棄してください。

Q147.

パーミエーションチューブを使用し続けると内部の液が減少しますが、有効長は変化しないのでしょうか?

A147.

チューブの使用に伴い、内部の液は減少しますが、有効長は不変です。
パーミエーションチューブでは、チューブの管壁部分全体からガスが均一に発生しており、その長さが有効長になります。液が減少した場合であっても、液が接していない管壁部分からも、接している部分と同じ割合でガスの発生が続きます。

パーミエーションチューブの有効長

一酸化炭素

Q148.

一酸化炭素は、どのようなガスですか?

A148.

一般的に“もの”が燃える時、例えば、工業的な燃焼装置に限らず、家庭用ガスコンロ、車の排気ガス、喫煙等、身近な環境でも発生し、無色、無臭で人間の五感では感じることのできないガスです。また、狭い部屋での喫煙、渋滞中のトンネル内等では、許容濃度(50ppm)以上の一酸化炭素ガスが、しばしば存在しています。

Q149.

一酸化炭素を吸い込んだ時の症状は?

A149.

一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結合し、体内の酸素供給能力を妨げるため、中毒症状が現れ、その症状には頭痛・吐き気・めまい・まぶしい感じ・耳鳴りなどがあります。

中毒指数(CO濃度×曝露時間)
ppm×hr
作用
300以下 作用は認められない。
600以下 多少の作用が表われる(異常感)。
900以下 頭痛、吐き気がおこる。
1500以下 生命危険となる。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p102.

許容濃度 50ppm 57mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
25ppm(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q150.

一酸化炭素の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A150.

主に測定管理されている場所は、大気汚染防止のため、大気、車の排ガス、工場排ガス等・生活環境衛生のため、人の多く集まる室内(事務所、興行場等)・労働環境衛生のため、燃焼装置、また、各種炉等を有している工場などがあります。

硫化水素

Q151.

硫化水素とは、どのようなガスですか?

A151.

一般には、温泉、下水道等で感じることのある腐卵臭です。
主な発生源として、自然界では、火山ガス、温泉等で放出され酸素欠乏状態の地中、河川、港湾等では、沈殿物中の硫酸塩が硫酸還元菌により分解され発生します。また、人工的には、化学工場、パルプ工場、石油精製等の工場から副生成物として発生します。

Q152.

硫化水素を吸い込んだ時の症状は?

A152.

硫化水素は目・鼻・のどの粘膜を刺激します。高濃度では甘い匂いに近くなり、次いで臭覚が麻痺し、警告性がなくなるので注意を要します。高濃度のガスを吸入すると頭痛、めまい、歩行の乱れ、呼吸障害を起こし、肺水腫となることもあり、ひどい場合は意識不明、けいれん、呼吸麻痺を起こし、死亡します。

硫化水素
(ppm)
作用
0.3 明らかに臭気を感じる。
5 不快感が起こる。
10 目に刺激を感じる。
50 呼吸気道が刺激され、障害が起こる。
200 暴露が長引けば激しい中毒が起こる。
250~450 1~8時間で生命危険となる。
600 30分間で致命的な急性中毒が起こる。
800 直ちに致命的な急性中毒が起こる。

※参考文献
中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p950.
.多田治、中明賢二、“労働科学叢書 48 環境有害物の測定と評価”、労働科学研究所(1981)、p405.

許容濃度 5ppm 7mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
1ppm(TWA) 5ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度 1ppm(2016年)
Q153.

硫化水素の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A153.

主に、測定されている場所は、作業者の硫化水素中毒防止のため、下水処理施設等、マンホールやビット内部、化学工場,パルプ工場、石油精製工場等・悪臭公害防止のため、悪臭発生源である事業場の敷地境界線、煙突などの排出口、排出水中の臭気等・総硫黄を2mg/kg以上含む温泉(温泉利用基準として、浴槽湯面から10cmで20ppm以下、浴室床面から70cmの所で10ppm以下という基準のもと測定されています。)などがあります。

アンモニア

Q154.

アンモニアとは、どのようなガスですか?

A154.

自然界では、水産加工品の残さい等が微生物によって分解され発生します。
工業的には、硝酸や肥料の合成原料となっているほか、無機工業製品として広い用途に使用されています。近年では、オゾン層を破壊しない物質として、再び冷凍機の冷媒として見直されています。

Q155.

アンモニアを吸い込んだ時の症状は?

A155.

アンモニアは皮膚、粘膜に対する刺激及び腐食性が強く、高濃度では吸入により肺水腫を起こして呼吸が停止することや、目に入れば視力障害を残すことがあります。 アンモニアは代表的な特定悪臭物質の一つであり、不快感をおぼえます。

アンモニア濃度
(ppm)
作用
5~10 明らかに臭気を感じる。
50 不快感が起こる。
100 目に刺激を感じる。
200~300 暴露が長引けば激しい中毒が起こる。
300~500 1~8時間で生命危険となる。
2,500~5,000 30分間で致命的な急性中毒が起こる。
5,000~10,000 直ちに致命的な急性中毒が起こる。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(1991)、p84.

許容濃度 25ppm 17mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
25ppm(TWA) 35ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q156.

アンモニアの測定は主にどのようなところで行われていますか?

A156.

アンモニアは、主に、労働衛生管理、大気汚染防止及び、製造工程管理を目的として測定されています。
下記に代表的な測定場所を示します。
畜産場/下水処理場/魚肉加工場/肥料製造工場/製鉄所/ソーダ工場/メラミン樹脂製造工場/冷凍機など

二酸化炭素

Q157.

二酸化炭素(炭酸ガス)とは、どのようなガスですか?

A157.

一般に、二酸化炭素は、炭素を含む物質が燃焼した時、また、動植物の呼吸や微生物による有機物の分解によって発生します。
一方、植物の炭酸同化作用によって消費されます。近年では、人為的に二酸化炭素が大量に発生され、地球の温暖化現象を引き起こす物質として深刻な問題となっています。

Q158.

二酸化炭素を吸い込んだ時の症状は?

A158.

二酸化炭素の毒性は弱く、特異な吸収症状を招くことはほとんどありません。しかし、高濃度の場合には麻酔作用が現れ、窒息死することがあります。

二酸化炭素濃度
(%)
作用
0.55 6時間暴霧で、症状なし
1~2 不快感が起こる
3~4 呼吸中枢が刺激されて呼吸の増加、腕拍・血圧の上昇、頭痛、めまい等の症状が現れる
6 呼吸困難となる
7~10 数分間で意識不明となり、チアノーセが起こり死亡する

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p570.

許容濃度 5000ppm 9000mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
5000ppm(TWA) 30000ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q159.

二酸化炭素の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A159.

主に測定されている場所は、身近な場所では、快適な室内環境を維持するため、オフィス、旅館、デパート、映画館、教室、室内プール・働く人の安全を守るため、溶接作業現場、坑道、醸造工場、各種倉庫内・農業・畜産業分野では、果実等の促成栽培、畜舎内・理科教育分野では、動植物の呼吸、植物の炭酸同化作用、“もの”の燃焼実験などがあります。

酸素

Q160.

酸素とは、どのようなガスですか?

A160.

酸素は、自然界に最も豊富にあり、植物の炭酸同化作用によって大気に放出され、動植物の呼吸や“もの”の燃焼によって消費されます。
ガスとして空気には21vol%、元素としては、水に重量で88.8%、人体に約65%の酸素が含まれています。

Q161.

酸素不足(過剰)時の症状は?

A161.

雰囲気中の酸素が不足すると、酸素欠乏により窒息死することがあります。 また、酸素過剰の場合は、可燃物の発火温度が下がり燃焼速度が増す結果、火災増加の危険性や火傷の危険性があります。

酸素不足時の症状
酸素(%) 症状
15~14 呼吸が深くなり、脈拍数が増し、労働が困難になる。
11~10 呼吸困難となり、眠気を催し、動作が鈍くなる。
7~6 顔色が消え、感覚鈍重となり、知覚を失う。
4%以下 40秒以内に知覚を失い、卒倒する。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p362.

Q162.

酸素の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A162.

主として、酸素欠乏事故の発生を防止するため、作業環境の酸素濃度測定があります。
作業場所に酸素欠乏の空気が発生し、侵入しまたは停滞するおそれがある場所として、マンホール、ピット、タンク、サイロ、暗きょ、倉庫、船倉、坑道の内部などがあり、通常その日の作業を開始する前に、そのつど酸素濃度測定が行われています。
*酸素欠乏症等防止規則では、空気中の酸素濃度が18%未満である状態を酸素欠乏という。

二酸化イオウ

Q163.

二酸化硫黄(SO2)とは、どのようなガスですか?

A163.

二酸化硫黄は、一般に亜硫酸ガスとも呼ばれ、刺激性の強いガスです
工業的には、硫化鉱または硫黄を空気の存在下で焙焼して製造されます。また、天然では、火山ガス中に含まれ、人為的に化石燃料(石油、石炭)の燃焼に伴い発生し大気汚染の一因となっています。

Q164.

二酸化硫黄を吸い込んだ時の症状は?

A164.

二酸化硫黄は皮膚・粘膜の水分に溶けて亜硫酸になり、付着部位に酸としての刺激及び腐食作用を示します。高濃度曝露により、目・鼻・のどを刺激し、曝露が長引けば呼吸麻痺を起こします。

二酸化硫黄濃度
(ppm)
作用
0.1~1 臭気を感ずる。
2~3 刺激臭、不快臭として感じる。
5~10 鼻やのどに刺激を感じ、せきが出る。
20 目に刺激を感じ、せきがひどくなる。
30~40 呼吸が困難になる。
50~100 短時間(0.5~1時間)耐えうる限界
400~500 短時間で生命危険

※参考文献
化学物質の危険・有害便覧(中災防) 第1版 第1刷 ISBN 4-8059-0391-0 C3043
環境有害物の測定と評価(労働科学研究所) 第1版 第2刷 ISBN 4-89760-048-0 C3343

許容濃度 検討中(日本産業衛生学会 2016年)
0.25ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q165.

二酸化硫黄の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A165.

主として、自治体等がおこなっている大気汚染常時監視システムのもと、各地の環境測定局において窒素酸化物やオキシダントなどとともに、24時間体制で測定されています。また、発生源として燃焼排ガスの測定も行われています。

ホルムアルデヒド

Q166.

ホルムアルデヒドとはどのようなガスですか?

A166.

化学的に、40%前後のホルムアルデヒド水溶液はホルマリンと呼ばれ、合成樹脂の原料、滅菌、消毒剤、一般防腐剤などの用途があり、生化学実験室における“ホルマリン浸け”でなじみのある薬品です。最近では、住宅建材に使用されているフェノ-ル系樹脂(接着剤)に含まれるため、新築住宅でのホルムアルデヒドガス発生による刺激臭が大きな問題となっています。

Q167.

人体への影響は?

A167.

皮膚を刺激し硬化させ、ひび割れ、潰瘍を生じさせます。蒸気は目を刺激し、吸引すると、粘膜が刺激されて咳が出ます。慢性症状として肝臓・腎臓の障害が起こります。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p858.

許容濃度 0.1ppm 0.12mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
0.3ppm(Ceiling)(ACGIH 2016年)
管理濃度 0.1ppm(2016年)
Q168.

ホルムアルデヒドの測定は主にどのようなところで行われていますか?

A168.

各種の製造工場における環境測定の他、住宅室内等での測定が主として行われています。また、有害大気汚染物質の優先取組物質に指定されたため、今後は、一般大気環境の測定が盛んになっていくものと思われます。

Q169.

シックハウスとは?

A169.

ホルムアルデヒドが主な原因とされていますが、化学物質過敏症のひとつとして考えられており、室内の有害化学物質だけではなくカビやダニが原因で目がチカチカしたり、頭痛、皮膚のかゆみなどの症状がおこります。これらの症状を総称してシックハウス症侯群と呼ばれています。
この他、オフィスビルが原因の場合はシックビルディング症侯群、学枚が原因の場合はシックスクール症候群などと呼ばれています。

Q170.

対象化学物質は?

A170.

一般住宅を対象としたものは、ホルムアルデヒドが1997年6月に当時の厚生省からガイドライン値が設定され、その後2000年6月にはトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンについてもガイドライン値が設定されました。その後スチレンやクロルピリホスなど現在まで13物質のガイドライン値が設定され今後も増えていくようです。
実際の現場では2001年8月から住宅性能表示制度により新築住宅の測定がすでに始まっています。また、学校の関係では今年の2月に文部科学省から「学校環境衛生の基準」の改訂が発表されホルムアルデヒドをはじめ4物質の濃度も測定することになりました。さらに今年の3月には職域における濃度低減のためのガイドラインが発表され職場の濃度を測定することになっています。

Q171.

対策方法は?

A171.

室内空気を換気するのがもっとも簡単で効果も高いと思われます。ただ、夏の暑い時期や冬の寒い時期、環境の影響で窓を開けられない場合は空気清浄器や市販されている化学物質を吸着、分解する製品を利用するのもひとつの方法でしょう。

オゾン

Q172.

オゾンとは、どのようなガスですか?

A172.

酸素分子O2に活性酸素Oが作用して生成するもので、化学式はO3です。
近年では“オゾン層破壊”などということばでしばしば耳にしますが、大気中では、紫外線が強い海岸地方で0.05ppm、通常の大気で0.005ppm位存在します。 強力な酸化力を有するので、用途としては、殺菌・消毒、漂白剤、有機合成の酸化剤などに利用されています。

Q173.

人体への影響は?

A173.

オゾンは強酸化性なため、低濃度でも目・鼻・のどの粘膜を刺激し、高濃度では気管支及び肺に強い障害を与えます。急性中毒では胸部痛・めまい・疲労などを呈し、ひどい場合は肺水腫・呼吸困難によるけいれんなどを招き死亡することもあります。

オゾン
(ppm)
作用
0.01~0.02 臭気を感じるがやがて馴れる。
0.1 臭気が強く、鼻、のどに刺激を感じる。
0.5 上部気道の刺激と頭痛、めまい、疲労感が起こる。
1 呼吸器障害が起こる。
10 職業性暴露では肺水腫、細気管支炎を発生している。
50 短時間で生命危険。

*参考文献 多田治、中明賢二、“労働科学叢書 48 環境有害物の測定と評価”、労働科学研究所(1981)、p314.

許容濃度 0.1ppm 0.2mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
重労働:0.05ppm、中労働:0.08ppm、軽労働:0.1ppm、
2時間以内の軽・中・重労働:0.2ppm(TWA)
(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q174.

オゾンの分析・測定方法には、どのようなものがありますか?

A174.

代表的な分析法としては、ヨウ化カリウム法があります。ヨウ化カリウム溶液にオゾンを吸収させ、吸光光度法によって濃度を求めます。また、測定器としては、紫外線吸収式、化学発光式、定電位電解式、ガルバニ電池式などが実用化されています。 その他、簡易測定法の検知管方式があります。ガステック製品では、検知管(18L、18M)が、主としてオゾン発生装置周辺での測定に活躍しています。

メタン

Q175.

メタンとは、どのようなガスですか?

A175.

古くから沼気の主成分として知られており、沼や湿地の泥土中でセルロースなどの有機物が腐敗、発酵して生成される無色無臭のガスです。空気と混合し爆発性ガスをつくり、主に坑道、地下下水などで滞留して着火源があると爆発事故につながることがあります。

Q176.

人体への影響は?

A176.

メタン自体は無害ですが、メタンの濃度が増加すると空気中の酸素濃度が低下して、酸素欠乏となります。
また、引火爆発による事故にも注意が必要です(爆発範囲5.0~15.0%)。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p882.

Q177.

メタンの測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A177.

古くからは、炭鉱における爆発災害防止のため、石炭鉱山保安規則に基づいて、炭鉱坑内での測定が行われています。その他、土木工事などの地下の作業現場における爆発及び酸欠事故防止のため、当該作業場での測定が行われています。

窒素酸化物

Q178.

窒素酸化物とは、どのようなところで発生しますか?

A178.

一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)を主体とする窒素酸化物(NOx)は、“もの”の燃焼に伴って必然的に発生します。その主な排出源は、自動車及び工場ですが、ビル・家庭の暖房・調理施設からの排出も無視できません。

Q179.

窒素酸化物とは、どのようなガスですか?

A179.

窒素酸化物は高い温度の燃焼過程でほとんどが一酸化窒素(NO)の形で生成されますが、これが大気中に放出されると酸化されて二酸化窒素(NO2)となります。
この反応の過程で紫外線やある種の炭化水素が関与すると、気象条件によっては光化学スモッグが発生すると考えられています。
なお、環境基準は一酸化窒素(NO)よりも毒性の強いとされている二酸化窒素について定められています。

環境基準 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること。

※参考文献 公害防止の技術と法規(大気編) 第6版
平成7年6月 公害防止の技術と法規編集委員会 編集・発行

Q180.

窒素酸化物の人体への影響は?

A180.

一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)がそれぞれ単独で存在することはほとんどありません。二酸化窒素は毒性が強く、高濃度の場合は目、鼻、のどを強く刺激し、せき、咽頭痛が起こり、めまい、頭痛、吐き気等の症状を招きます。吸入量が多いと、5~10時間後くちびるなどが青くなりチアノーゼ症状を起こし、肺水腫を招きます。重症の場合は意識不明となり死亡することがあります。なお、慢性症状として、慢性気管支炎、胃腸障害、歯牙酸食、不眠症などを起こします。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p356

許容濃度 一酸化窒素 25ppm(TWA)(ACGIH 2016年)
二酸化窒素 検討中(日本産業衛生学会 2016年)
0.2ppm(TWA)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q181.

窒素酸化物の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A181.

二酸化硫黄等の測定と同様に、自治体等が行なっている大気汚染常時監視システムのもと各地の環境測定局において24時間体制で測定されています。
また、発生源として燃焼排ガスの測定も行われており、近年では、自動車の排気ガス規制の1項目として測定されています。

トリクロロエチレン

Q182.

トリクロロエチレンとはどのような物質ですか?

A182.

卜リクレンと呼ばれていることが多く主として金属機械部品の脱脂洗浄などに使用されており常温では液状で非常に揮発性の高い物質です。
比較的安定な物質で廃液を流出させると地下に浸透し近年では地下水(井戸水)から検出され問題となっています。

Q183.

トリクロロエチレンの人体への影響は?

A183.

目、鼻、のどを刺激し、皮膚に繰り返し触れると、皮膚炎を起こします。蒸気を吸入すると、頭痛、めまい、吐き気を起こし、貧血、肝機能障害を起こすこともあります。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p624.

許容濃度 25ppm 135mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
10ppm(TWA)、25ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度 10ppm(2016年)
Q184.

トリクロロエチレンの測定は主にどのようなところで行われていますか?

A184.

主に検知管を用いて測定されている場所は労働衛生管理を目的とした作業環境の測定・水質汚濁の防止を目的とした排出水や地下水の測定・地質汚染現場での汚染状況の調査・大気汚染防止を目的とした排出ガス濃度の測定などがあります。

塩素

Q185.

塩素とは、どのような物質ですか?

A185.

腐食性が極めて強く、強い刺激臭のする物質で、自然界で発生することはありません。
塩化ビニル、塩素系溶剤などの有機塩素化合物および無機塩素化合物の原料、紙・パルプ繊維の漂白、医薬品、農薬、染料の製造、鉱石精錬や金属の回収など広い用途を有しています。また、私たちが毎日使用している水道水は、水道法等により「水の消毒は塩素によるものとする」と規定されており、塩素が注入されています。

Q186.

人体への影響は?

A186.

塩素は粘膜に触れると酸化(脱水)及び塩素化の反応を起こし、強い刺激及び腐蝕作用を呈します。高濃度塩素に暴露すると、目・鼻・のどの灼熱感、胸部の疼痛(圧迫感)などが起こり、急性中毒では声門けいれん、呼吸困難を起こします。

塩素
(ppm)
作用
0.1~0.2 臭気を感じる。
1 かなり刺激臭が強い。
3~6 目、鼻、のどに刺激、頭痛をまねく。
14~21 0.5~1時間で生命危険。
40~60 短時間で生命危険。
100 1分間以上耐えられない。
900 即死。

※参考文献
化学物質の危険・有害便覧(中災防) 第1版 第1刷 ISBN 4-8059-0391-0 C3043
環境有害物の測定と評価(労働科学研究所) 第1版 第2刷 ISBN 4-89760-048-0 C3343

許容濃度 0.5ppm 1.5mg/m3(最大許容濃度)(日本産業衛生学 2016年)
0.5ppm(TWA)、1ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度 0.5ppm(2016年)
Q187.

塩素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A187.

A38で述べた塩素を用いる場所の作業環境測定や大気汚染防止を目的とした工場の排出ガス、日常生活では、浄水場やプールなどでも測定が行われています。

シアン化水素

Q188.

シアン化水素とは、どのような物質ですか?

A188.

別名を青酸ともいい、無色で特有の芳香性微臭(ハタンキョウのようなにおい)をもつ、沸点25.7℃の揮発性液体です。水には任意の割合で溶解します。
また、引火性液体(引火点-17.8℃)で、火炎、火花などによって発火します。蒸気密度は0.947で空気よりわずかに軽く、爆発範囲は5.6~40vol%です。
主な用途として、アクリロニトリル等の有機合成品原料、シアン化カリウム(青酸カリ)等の製造原料、農薬・殺鼠剤原料などに使用されています。

Q189.

人体への影響は?

A189.

シアン化水素は軽度の粘膜刺激性をもち、一般的には吸入によって中毒症状を現しますが、高濃度の場合は経皮吸収の注意も要します。シアン化水素の中毒作用は細胞の呼吸を阻害して酸素欠乏の状態を招きます。急性中毒では頭痛・めまい・耳鳴り・嘔吐などがあり、ひどい場合は意識不明の状態となり、脈拍がはやくなりけいれんを起こし死亡します。

シアン化水素
(ppm)
作用
18~36 数時間後に軽い症状。
45~54 0.5~1時間は耐えられる。
110~125 0.5~1時間で生命危険または死亡。
135 30分間で死亡。
181 10分間で死亡。
270 直ちに死亡。

※参考文献
中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p392.
多田治、中明賢二、“労働科学叢書 48 環境有害物の測定と評価”、労働科学研究所(1981)、p330.

許容濃度 5ppm 5.5mg/m3(経皮吸収)(日本産業衛生学会 2016年)
4.7ppm(Ceiling)(ACGIH 2016年)
管理濃度 3ppm(2016年)
Q190.

シアン化水素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A190.

シアン化水素を取り扱っている化学工場やシアン化水素の発生する製鉄所、メッキ工場等で測定が行われています。

ヒ素

Q191.

ヒ素とは、どのような物質ですか?

A191.

.ヒ素は地上に広く存在する、銀白色から黒色のもろい結晶性の半金属です。
工業的には、三酸化ヒ素を炭素還元することにより得ることができます。
ヒ素を含む化合物はいずれも毒性があり、酸もしくは酸の蒸気と接触すると、非常に有毒なガス(アルシン)が発生します。
主な用途としては、、殺虫剤、除草剤、乾燥剤、半導体製造に使われます。

Q192.

人体への影響は?

A192.

一般的に食欲喪失、けいれん、吐き気、便秘もしくは下痢のような消化管関係の障害を起こしたり、肝臓障害を起こし、ひどい場合には、嘔吐物および糞便に血を含み虚脱状態もしくはショック状態となり、死にいたることもあります。また皮膚、肺、肝臓に対して発ガン性も認められています。

Q193.

ヒ素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A193.

半導体工場のアルシン漏洩防止のため、検知管および計測器による測定が行われています。
環境(土壌・水中等)汚染場所のヒ素の測定は機器による分析で行われていますが、愛知県環境調査センターでは、検知管を応用した簡易測定法の研究が行われ、その成果は水処理技術,34,451~459(1993)等に発表されています。

過酸化水素

Q194.

過酸化水素とは、どのような物質ですか?

A194.

過酸化水素は、水に可溶な無色・無臭の油状液体で、工業的にはα-エチルアンスラキノンを不溶性の溶剤に溶かしこれを還元、酸化し水で抽出することで得ることができ、一般的には30%溶液が市販されています。
強力な酸化剤で還元剤として働く場合もあります。また高濃度品は不純物、銅、銀、白金などの微粒子によって爆発的に分解します。
用途としては、過酸化水素に安定剤を加え3%溶液にしたオキシドール(消毒剤)や、紙・パルプ、天然繊維の漂白剤をはじめ、酸化剤、殺菌剤、還元剤、液体ロケット燃料としても使用されています。

Q195.

人体への影響は?

A195.

25%以上の液が皮膚・粘膜に触れると、激しい炎症を起こします。また過酸化水素を使用する作業場では、それの蒸気曝露によって、毛髪の変色を招きやすいことが知られています。多量の経口投与では、胃炎や食道炎のような急性毒性を呈するほか慢性の毒性も懸念されています。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p210.

Q196.

過酸化水素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A196.

作業環境中の過酸化水素の許容濃度はACGIH(1998)のTLV-TWAで1ppmと定められています。
これによって、作業者が受ける刺激、あるいは毛髪の変色を最小限に抑えることができるといわれています。したがって、過酸化水素を取り扱う多くの作業環境で1ppm以下の測定が行われています。

塩化水素

Q197.

塩化水素とは、どのような物質ですか?

A197.

塩化水素は無色で強い刺激性のある気体です。天然には火山ガス中に含まれ胃液には水溶液(塩酸)として含まれています。
塩素と水素の直接反応により得ることができますが、実験室では、濃硫酸に濃塩酸を滴下することで発生します。一般には35~37%の塩酸として市販されています。
主な用途として、医薬品・染料中間体・無機塩化物の製造、塩化ビニル・塩化メチルの製造及びエッチング用などに使われています。

Q198.

人体への影響は?

A198.

目・皮膚などに付着すると炎症を起こします。
吸入した場合、喉・鼻などの粘膜を刺激してせきがでます。
多量に吸入すると肺水腫を起こし死亡してしまいます。

塩化水素
(ppm)
作用
0.5~1 軽い刺激を感ずる。
5 鼻に刺激があり、不快感を伴う。
10 鼻への刺激が強く、30分以上は耐えられない。
35 短時間でのどが刺激される。
50 短時間耐えうる限界。
1,000 生命危険となる。

※参考文献
中央労働災害防止協会編、“2000-2001 化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(2002)、p166.
多田治、中明賢二、“労働科学叢書 48 環境有害物の測定と評価”、労働科学研究所(1981)、p305.

許容濃度 2ppm 3mg/m3(最大許容濃度)(日本産業衛生学会 2016年)
2ppm(Ceiling)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q199.

塩化水素の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A199.

化学工場、半導体工場、石油精製工場等で、主として、燃焼や化学反応などに伴って発生(排出)するガスの測定が行われています。 JIS(K 0107)では、滴定法、吸光光度法、イオンクロマトグラフ法などの分析(測定)方法が規定されていますが、検知管による簡易測定法もさまざまな場所、さまざまな目的に活用されています。

硫酸

Q200.

硫酸とはどのような物質ですか?

A200.

硫酸は無色無臭の粘性液体です。
製造方法は、硫黄あるいは硫化鉱(硫化鉄が最も多い)をパイ焼させて得られる二酸化イオウを酸化して水に吸収させる方法があります。
硫酸は化学工業の中で最大の基礎原料であり、主な用途として肥料、染料、石油の精製、有機化合物の合成、その他広範囲に使用されています。

Q201.

人体への影響は?

A201.

皮膚等に付着すると強い脱水作用と腐食作用により、ひどい火傷を起こします。蒸気を長時間吸入すると歯牙酸食を起こしたり呼吸器を侵し、ときには肺炎や肺水腫を起こします。また眼に入ると失明する場合もあります。

硫酸
(mg/m3
作用
0.1~0.5 軽い刺激がある。
1.5~2.5 刺激があり不快感を覚える。
5 5分間は障害なしに耐え得る。
10~20 刺激が強く耐え難い。

※参考文献 中央労働災害防止協会編、“化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(1991)、p914.

許容濃度 1mg/m3(最大許容濃度)(日本産業衛生学会 2016年)
0.2mg/m3(T)(TWA)(ACGIH 2016年)
管理濃度
Q202.

硫酸(ミスト)の測定は、主にどのようなところで行われていますか?

A202.

硫酸を含む溶液の電解工程や希硫酸による金属の溶解工程では、液の発泡に伴い硫酸(ミスト)が発生します。このため、こうした作業現場では、作業者の健康の保護を目的とした環境測定が主として行われています。
滴定法や吸光光度法が一般的な硫酸(ミスト)の分析(測定)法ですが、検知管による簡易測定法も作業環境管理に有効活用されるよう期待されています。

エチレンオキシド

Q203.

エチレンオキシドとはどのような物質ですか?

A203.

無色で決香(エーテル臭)のある流動性の液体(常温で気体)で水に溶けやすく、有機合成原料、顔料、界面活性剤などの用途のほか、医療器具の滅菌に使用されています。
引火点(-17.8℃)が低いだけでなく、爆発範囲(3.0~100VOL%)が非常に広く、蒸気は空気や酸素が存在しないところでも分解爆発を起こすこともあります。
発がん性の疑いがある物質として、日本産業衛生学会、ACGIHの許容濃度の勧告値及び作業環境測定の結果の評価を行うための管理濃度はともに1ppmと規定されています。
また、大気汚染防止法においては、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質のうち、健康リスクが高いと考えられる「優先取組物質」にも位置付けられています。

Q204.

人体への影響は?

A204.

濃厚な液体が皮膚につくと、水泡ができます。目に入ると、角膜炎を起こすことがあります。蒸気を吸入すると、低濃度の場合は悪心・吐き気、高濃度の場合は目・皮膚・粘膜を刺激します。多量に吸入すると、麻酔作用を起こし死亡することがあります。
※参考文献 中央労働災害防止協会編、“化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(1991)、p914.※
参考文献 中央労働災害防止協会編、“化学物質の危険・有害便覧”、中央労働災害防止協会(1991)、p914.

許容濃度 1ppm 1.8mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
1ppm(TWA)(ACGIH 2016年)
管理濃度 1ppm(2016年)
Q205.

エチレンオキシドはどのような方法により測定されていますか?

A205.

比較的高濃度の漏洩チェック等の管理には、ガス(可燃性ガス)検知警報器、検知管等により測定されています。
大気環境中エチレンオキシドの測定方法は、有害大気汚染物測定方法マニュアルにより、固相捕集―溶液抽出―ガスクロマト質量分析法が標準的方法として提示されています。 作業環境測定基準では、固体捕集方法によるガスクロマトグラフ分析方法が基準化されています。

ダイオキシン類

Q206.

最近問題となっているダイオキシン類とはどのような物質ですか?

A206.

ダイオキシン類は、通常は無色の固体で、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられるような過程(ごみ焼却による燃焼など)で自然にできてしまう副生成物です。
ダイオキシン類対策特別措置法では、ポリ塩化ジペンゾフラン(PCDF)、ポリ塩化ジペンゾ-バラ-ジオキシン(PCDD)及びコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナPCB)をダイオキシン類と定義しています。
ダイオキシン類の毒性の強さは、PCDDのうち、2と3と7と8の位置に塩素が付いたもの(2,3,7,8-TCDD)が最も強く、この2,3,7,8-TCDDの毒性を1として、他のダイオキシン類の毒性の強さを換算した係数が用いられています。

多くのダイオキシン類の量や濃度のデータは、それぞれのダイオキシン類の毒性を足し合わせた値の毒性等量(TEQ)という単位で表現されています。大気の汚染に係わる環境基準は、年平均値で0.6pgTEQ/m3以下、当面の耐容1日摂取量は、4pgTEQ/kg体重/日(1日体重1Kg当たり4ピコグラム)以下となっています。

《注》pg(ピコグラム)=10-12g(1兆分の1グラム)

Q207.

検知管などの簡易な方法で、大気中のダイオキシン類の測定は可能ですか?

A207.

超微量の濃度を対象とした測定のため、検知管などの簡易な方法での測定は全く不可能です。
通常は、大量の試料空気をサンプラーでろ過補集し、クリーンアップ等の前処理を行い、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(HRGC/HRMS)により分析されます。文章で書くと簡単のようですが、複雑な行程を経て行われています。


<参考・引用文献>
有害大気汚染物質測定の実際.有害大気汚染物質測定の実際編集委員会 編
セイフティダイジェスト2001.5 VOL.47 (社)日本保安用品協会 編

二酸化塩素

Q208.

二酸化塩素とは、どのようなガスですか?

A208.

刺激臭を有する、空気より重い赤~黄色の気体です。水に溶けやすく(溶解度:0.8g/100ml at20℃)、水溶液としても、よく用いられています。二酸化塩素自体は不燃性ですが、きわめて強い酸化性があり、可燃性物質・還元性物質との接触、熱、日光、衝撃、火花等により、火災・爆発等を起こす危険があります。工業的な用途としては、この強力な酸化作用を利用した、殺菌剤、あるいは繊維・パルプ・食品等の漂白剤などが代表的なものです。また、塩素系の漂白剤や洗浄剤等を使用する際には、非意図的に二酸化塩素が発生することもあるので、注意が必要です。

Q209.

人体への影響は?

A209.

二酸化塩素は塩素よりも強い刺激性および毒性を有し、眼・皮膚・気道を重度に刺激します。5ppmで確実な刺激性を顕し、20ppmでは短時間中に致死するほか、0.1ppm程度の慢性暴露によっても気管支炎等の諸症状を発症することが報告されています。肺水腫等の急性症状は、暴露後数時間を経て発症する場合があるので、急性暴露の際には、医師の診断と経過観察が不可欠です。

<参考文献>
国際化学物質安全性カード(WHO/IPCS/ILO)ICSC番号:0127
中央労働災害防止協会・編 化学物質の危険・有害便覧(平成3年1版1刷)
掘口博・著 化学物質の安全性・危険性(昭和60年4刷)

水銀

Q210.

水銀とはどのような物質ですか?

A210.

水銀は、銀白色に輝く液体で、常温で唯一の液状金属です。
比重は13.6と非常に重い物質ですが蒸発しやすく、各種の金属と容易に化合してアマルガムをつくります。
メチル水銀中毒の報告にもあるように、毒性の強い物質ですが、工業用薬品のほか、温度計などの計測機器、農薬、電池(現在ではボタン電池のみに使用)、医薬品などに広く用いられています。 けがをしたらまず「赤チン」。以前は家庭用医薬品として、赤チンがどこの家庭にも備えてありましたが、水銀を使用しているためほとんど使われなくなりました(使用禁止ではなく、現在でも薬局へいけば買うことはできます)。

Q211.

人体への影響は?

A211.

水銀蒸気を吸入すると、食欲不振、頭痛、頭重、全身倦怠、軽微な震え、不眠その他精神症状などを起こします。また、皮膚からも吸収します。

許容濃度 0.025mg/m3(日本産業衛生学会 2016年)
0.025mg/m3(単体および無機化合物として)(TWA)(ACGIH 2016年)
管理濃度 0.025mg/m3(水銀として)(2016年)
Q212.

水銀の測定は主にどのようなところで行われていますか?

A212.

化学工場、計測機器製造工場等で、燃焼や金属精錬、廃棄物の処理などに伴って発生(排出)されるガスの測定が行われています。
JIS(K0222)では原子吸光分析(測定)法が規定されていますが、水銀蒸気用検知管(No.40,測定範囲:0.05~13.2mg/m3)による簡易測定法もきまざまな場所、さまざまな目的に活用されています。

テトラクロロエチレン

Q213.

テトラクロロエチレンとは、どのような物質ですか?

A213.

別名パークロロエチレンやパークレンと呼ばれ、無色で特異臭を示す揮発性の物質です。
不燃性で容易に油を溶かすため、ドライクリーニング用溶剤や金属機器部品の脱脂、洗浄などに使用されています。
テトラクロロエチレンは有機溶剤中毒予防規則の対象でしたが、平成26年には特定化学物質障害予防規則が改正され、特定化学物質の第2類物質の「特別有機溶剤等」に位置づけられるとともに特別管理物質になり、発がん性を踏まえた措置が義務づけられました。
また、作業環境評価基準の一部改正により平成28年10月1日から管理濃度が50 ppmから25 ppmに引き下げられます。

Q214.

テトラクロロエチレンの人体への影響は?

A214.

吸入や経口摂取によりめまい、頭痛、腹痛、吐き気、脱力感、意識喪失などを引き起こす他、目や皮膚に刺激を与えます。また、発がんの恐れがあると考えられています。

許容濃度は検討中、TLV-TWA※は25 ppmとなっています。

※TLV-TWA:米国産業衛生専門家会議によって設定された時間加重平均の許容濃度で、1日8時間、週40時間の繰り返し労働において作業者に対し有害な影響を及ぼさない時間加重平均濃度。

許容濃度 検討中(日本産業衛生学会 2016年)
25ppm(TWA) 100ppm(STEL)(ACGIH 2016年)
管理濃度 25ppm(2016年10月)
Q215.

テトラクロロエチレンの測定は、どのようなところで行われていますか?

A215.

主に検知管を用いて測定されている場所は、
・労働衛生管理を目的とした作業環境の測定
・水質汚濁の防止を目的とした排出水や地下水の測定
・地質汚染現場での汚染状況調査
・大気汚染防止を目的とした排出ガス濃度の測定
などがあります。

〈参考〉
化学物質の環境リスク評価 第2巻
(環境省)
職場の安全サイト
(厚生労働省)

1-ブロモプロパン

Q216.

1-ブロモプロパンとは、どのような物質ですか?

A216.

別名臭化n‐プロピルや臭化プロピルと呼ばれ、常温常圧では液体の物質です。この物質は平成29年3月1日より、新たにリスクアセスメント対象物質に追加されました。許容濃度は0.5 ppmで、TLV-TWAは0.1 ppmに設定されています。
 ヒトに対する発がん性は、現在のところはっきりとは分かっていません。しかし慢性的にばく露を受けた作業者に、神経障害や運動障害といった症状があらわれたという報告があり、この物質との関連性が指摘されています。
 この物質は金属の洗浄液で使用されているほか、合成繊維の補助剤、染料、香料などに用いられています。

(参考)

(当社ホームページ更新日:2017年4月15日)
Q217.

1-ブロモプロパンは検知管で測定できますか?

A217.

換算係数を用いれば、臭化メチル検知管No.136LAとNo.136LLで測定することができます。No.136LLは許容濃度0.5 ppm付近の測定が可能です。それぞれの検知管の換算係数と測定範囲は表の通りです。なお、補正によって算出した値は参考値としてお取り扱いください

検知管 吸引回数 換算係数 測定範囲
136LA 2 1.0 1~18ppm
136LL 2 0.8 0.08~0.96ppm

(当社ホームページ更新日:2017年4月15日)

悪臭防止法関係

Q218.

臭気判定士って何ですか?

A218.

悪臭防止法では、人の嗅覚で悪臭を測定する方法〈嗅覚測定法)を用いた「臭気指数」による規制手法が導入されています。嗅覚測定法は、さまざまなにおいが混ざり合っている場合でもにおいの強さを客観的に表す方法として、世界的にも広く用いられている手法です。
臭気判定士は、嗅覚測定法の公正性・厳正性を確保するため、嗅覚測定を管理・統括する責任者(オペレーター)で、臭気の濃さの正しい判定、評価により環境保全に頁献する臭気環境分野で初めての国家資格です。また、悪臭問題の現場に精通している者が多いことから、最近では悪臭防止対策全般について活用されるようになり、その活躍の場はさまざまとなっています。
当社にも2名臭気判定士が在籍しています。臭気に関連するお問い合せ等ありましたら、気楽にお寄せください。

Q219.

臭気判定士になるための条件は?

A219.

18歳以上であれば、学歴・実務経験を関わず、だれでもなれます。ただし、嗅覚検査と臭気判定士試験の両方に合格する必要があります。
嗅覚検査は、臭気指数等の測定に係わる嗅覚の適格性について行うもので、全国各地の委託検査機関で受験することができます。この検査は、においを嗅ぎとることができる(嗅覚に異常がない)かをみるもので、特別鼻が利く必要はなく、ほとんどの人が合格しています。臭気判定土試験は、臭気指数等の測定に閑し必要な知識について、毎年11月中旬に行われています。試験科目は

1.嗅覚槻論
2.悪臭防止行政
3.分析統計概論
4.悪臭測定概論
5.臭気指数等の測定実務

の5科目で、いささか難しく、平成13年度の試験では、合格率は30%程度であったとのことです。
臭気判定士の試験等に関しては、下記にお開い合わせください。

社団法人 臭気対策研究協会
TEL 03-3811-9854
URL http://www.orea.or.jp

<参考引用文献>
(社)臭気対策研究協会発行
‘人間の鼻で、においの濃さを判定する臭気判定士’

Q220.

〈悪臭物質の測定編〉
悪臭防止法で規定している規制基準の適否の測定に検知管は使用可能ですか。

A220.

法律に基づく排出規制の対象となる特定悪臭物質の測定に検知管を用いることは適当ではありません。
不快と感ずる特定悪臭物質の規制基準の下限値は極めて低濃度(一例として、メチルメルカプタンは0.002ppm)ですので、告示(特定悪臭物質の測定の方法)による測定方法(ガスクロマトグラフなどの機器分析法)あるいは、嗅覚測定法を用いて測定される悪臭の程度に関する値(臭気指数)で評価することとなっています。ただし、事業主が自主的に日常の管理に、主として比較的高濃度の発生源などの測定について検知管を用いることは特別な条件はなく、むしろ推奨されていますので、検知管を有効に活用し、悪臭公害の防止にお役立てください。

Q221.

検知管による、悪臭物質の測定は、どのような場合に使用されているのか、具体的に教えてください。

A221.

①脱臭装置の性能評価には検知管が多く使用されています。脱臭装置のIN側およびOUT側の濃度を測定することにより、脱臭装置の除去効率を知ることができます。
②A1.でも触れましたが、悪臭を発生している施設等の管理のために使用されています。定期的に検知管で測定を行うことにより、悪臭物質の排出状況を把握することができます。
③長時間測定用の拡散形検知管を使用して、悪臭を発生している施設等の周辺における平面的な濃度分布や拡散状況を把握するために使用されています。
④特殊な使用例としまして、鶏糞から発生する悪臭(主としてアンモニア)を低減するために、酵素等を添加した配合飼料の研究が行われていますが、その効果試験にも検知管が使用されています。
その他、さまざまな目的で使用されていますが、代表的な悪臭物質であるアンモニアおよび硫化水素の測定が主となっています。

Q222.

電動ポンプを使用した検知管による測定方法が、悪臭物質の測定方法として環境省でマニュアル化されていると聞きました。検知管の使用の裏づけ、補強材料の参考にしたいので、詳細について教えてください。
また、臭気対策における一般検知管の有効な活用方法についても教えてください。
(T株式会社 環境調査コンサルタント)

A222.

お問い合わせのマニュアルは、平成2年3月に環境庁大気保全局特殊公害課で作成した「悪臭物質簡易測定マニュアル」のことだと思います。
告示に基づく測定方法を補完する目的で、規制基準値の下限界濃度(臭気強度2.5)周辺の濃度範囲を測定することが可能か否かの検討を経て、アンモニア、硫化水素及びスチレンの3物質については検知管による測定が使用可能であるとしてマニュアル化されたものです。
同年、4月26日付けで、環境庁大気保全局特殊公害課長から、都道府県、指定都市悪臭担当部(局)長あてに、「悪臭物質簡易測定マニュアルに基づく簡易測定法の活用について」として、通達(環大特第58号)されました。
しかし、この時点での環境庁の告示による測定方法に基づく試料の採取方法は、5分間と規定されていましたので、検知管による簡易測定マニュアルでもこれに合わせ、電動ポンプを使用して5分間としました。その後、環境庁の告示による測定方法が改正され(平成8年2月)、試料の採取方法が6秒以上30秒以内と変更(アンモニア、トリメチルアミンについては5分間)されたため、告示法との整合性がないとのことで、現在では本マニュアルに基づいた測定は、残念ながらほとんど活用されることはありません。
一般検知管については、悪臭防止法に基づく規制値の判断には使用できませんが、主として自主管理の目的で、防脱臭装置の性能評価や悪臭発生源の実態把握、臭気の分布状況や時間変動などを調べるため多数のデータが必要な場合には、検知管が有効な手法であるとして、各方面で活用されています。

ちなみに、( 社)におい・かおり環境協会のホームページ(http://www.orea.or.jp)上では、検知管や各種のにおいセンサなどの有効活用の参考資料として「臭気簡易評価技術の活用に関する報告書」(PDF)が公開されています。また、刊行物として「臭気簡易測定ガイドブック」が発行されています。ご参照ください。

作業環境測定関係

Q223.

管理濃度とは何ですか?

A223.

労働安全衛生法第65条に規定する作業環境測定を実施するにあたって、その測定結果を評価する際の基準となる濃度のことです。管理濃度は、日本産業衛生学会の許容濃度等の知見に基づき、管理濃度等検討会の審議を経て、厚生労働大臣がこれを定めるものとされています。

Q224.

管理濃度は作業環境測定の評価にどのように用いられているのですか?

A224.

作業環境測定の結果は、管理濃度に基づいて、以下のように評価されます。

第一管理区分

第一評価値が管理濃度に満たない場合。

第二管理区分

第一評価値が管理濃度以上であり、かつ、第二評価値が管理濃度以下である場合。

第三管理区分

第二評価値が管理濃度を超える場合。

※第一評価値

単位作業場所において考え得るすべての測定点の作業時間における気中有害物質の濃度の実現値のうち、高濃度側から5%に相当する濃度の推定値をいう。

※第二評価値

単位作業場所における気中有害物質の算術平均濃度の推定値をいう。

作業環境測定の結果が第三管理区分に該当した場合には、事業者は、直ちに作業環境改善のための措置を講じ、当該作業場所が第一管理区分または第二管理区分になるようにしなければならないと、厚生労働省令に定められています。また、第二管理区分に該当した場合には、作業環境を改善するための措置を講ずるように努めなければならないとも定められています。

Q225.

芳香族化合物とはどのような物質ですか?

A225.

一般的には「ベンゼン環を含む化合物」と定義され、当然ベンゼンが基本となります。ベンゼン(C6H6)は、図に示す有名な亀の甲の記号で表されます。
ベンゼンのHが1つ取れて、CH3に置き換わると、トルエン(C6H5CH3)に、CH:CH2に置き換わるとスチレン(C6H5CH:CH2)に、Hが二つ取れて、CH3ニつに置き換わると、キシレン(C6H4(CH3)2)になります。
その他、ベンゼン環が複数結合した多環化合物など、さまぎまな物質が存在します。
芳香族とはいうものの、それほど「芳しい香り」とはいえません。むしろ、トルエン、スチレン、キシレンは悪臭防止法で規定する特定悪臭物質に指定されています。また、ベンゼンは発ガン性があるので、むやみににおいを嗅いだりしないほうがよいでしょう。

Q226.

検知管による芳香族化合物の作業環境測定は可能ですか?

A226.

可能です。ただし、他の芳香族化合物の干渉を受ける場合がありますので(例:トルエンとキシレンが共有した場合など)注意してご使用ください。
作業環境測定基準で規定されている代表的な芳香族化合物の検知管の仕様を以下に記します。

  ベンゼン トルエン キシレン スチレン o-クレゾール
型式 121SL 122L 123 124L 61
測定範囲 1~100ppm 1~100ppm 5~625ppm 2~100ppm 0.4~62.5ppm
管理濃度 10ppm 50ppm 100ppm 50ppm 5ppm
Q227.

有機塩素化合物とは、どのような物質ですか。

A227.

塩素を構成原子のひとつとして含む有機化合物のことです。
ほとんどの有機塩素化合物は、人工的に合成されたもので、多少なりとも毒性を持っています。
このため、農薬や殺虫剤などに利用されているものもあります。
その他の用途としては、溶剤、冷媒、合成繊維、合成樹脂など広範囲に用いられています

Q228.

検知管による、有機塩素化合物(有機溶剤)の作業環境測定は可能ですか。

A228.

可能です。ただし、他の芳香族化合物の干渉を受ける場合がありますので(例:トルエンとキシレンが共有した場合など)注意してご使用ください。
作業環境測定基準で規定されている代表的な芳香族化合物の検知管の仕様を以下に記します。

クロルベンゼン クロロホルム 四塩化炭素 1,2-ジクロロエチレン
型  式 126L 137L 134L 139
測定範囲(ppm) 0.5~43 0.5~27 0.25~12 5~250
管理濃度(ppm) 10 10 5 150
テトラクロロエチレン 1,1,1-トリクロロエタン トリクロロエチレン
型  式 133L 133TP 135L 132L 132TP
測定範囲(ppm) 2~250 5~80 6~900 1~70 2~50
管理濃度(ppm) 50 200 50

※その他、塩化ビニル(管理濃度2ppm:特定化学物質)についても、No.131L検知管(測定範囲0.1~6.6ppm)により、測定が可能です。

Q229.

作業環境測定を行うにあたり、特別なライセンスを持っていなくても測定していいのでしょうか?

A229.

作業環境測定を行うべき作業場としては、労働安全衛生法第65条、労働安全衛生法施行令第21条に定められており、そのうち指定作業場として定められている5種類の作業場(有機溶剤、特定化学物質など)の測定には、作業環境測定士の資格が必要です。また、酸素欠乏危険作業場では作業主任者の資格が必要です。
詳しくは日本作業環境測定協会のホームページなどをご参照ください。

Q230.

作業環境測定のため、検知管の使用が認められている有機溶剤について、当該の検知管を使用して測定したところ、変色が見られませんでした。この場合、測定結果はどうなるのでしょうか?

A230.

検知管の定量下限値が測定値となります。
作業環境測定基準(省令)では、有機溶剤等を取扱う指定作業の作業環境測定において、測定の結果、定量下限値に満たなかった場合、定量下限値を測定値とみなすと規定しています。

特定化学物質障害予防規則関係

Q231.

〈特定化学物質編〉
特定化学物質等とは、どのような物質ですか。

A231.

がん、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を発生するおそれのある化学物質で、労働安全衛生法施行令別表第3に掲げられている物質を特定化学物質等として定義しています。
製造許可物質(労働安全衛生法第56条で規定)であるジクロロベンジジンなど7種の第1類物質、人体に対して慢性障害を発生するアクリロアミドなど37種の第2類物質、大量漏洩による急性中毒を発生するアンモニアなど9種の第3類物質に区分されています。これらの特定化学物質等を取り扱う作業においては、所定の技能講習を修了した者のうちから、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他を行わせなければならないと規定されています。
また、第1類物質、第2類物質を取り扱う作業場については、6月以内ごとに1回、定期に、厚生労働大臣の指定する作業環境測定基準に従って作業環境測定を行わなければならないとも規定されています。

Q232.

検知管を使用した特定化学物質の作業環境測定における条件等があれば教えてください。

A232.

アクリロニトリル、エチレンオキシド、塩化ビニル、塩素、シアン化水素、弗化水素、ベンゼン、硫化水素の8種の第2類物質については、検知管方式による測定機器を用いる方法により測定することができます。ただし、当該物質以外のものが測定値に影響を及ぼすおそれのあるときは、この限りではありません。また、使用する検知管は、管理濃度(作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標)の1/10の濃度が精度よく測定できるものとされています。
第1類物質、第2類物質を取り扱う作業場は、政令で定める指定作業場ですので、作業環境測定は、作業環境測定士または作業環境測定機関が行わなければなりません。

Q233.

昨年の特定化学物質障害予防規則等の改正により「特別有機溶剤等」という用語が使われるようになりましたが、これはどのようなものですか。

A233.

特定化学物質に指定されている以下の12物質(2015年4月現在)のことを「特別有機溶剤」、特別有機溶剤と特別有機溶剤を含有する製剤(含有量が1重量%以下のものを除く)を総称したものを「特別有機溶剤等」と、それぞれ定義されています。

・ エチルベンゼン
・ 1, 2-ジクロロプロパン
・ クロロホ ルム
・ 四塩化炭素
・ 1, 4 -ジオキサン
・ 1, 2 - ジクロロエタン
・ ジクロロメタン
・ スチレン
・ 1 , 1 , 2 , 2 - テトラクロロエタン
・ テトラクロロエチレン
・ トリクロロエチレン
・ メチルイソブチルケトン

これらの物質は、従来は有機溶剤中毒予防規則(以下「有機則」)により規制されていましたが、職業がんを発生する可能性があることから、新たに特定化学物質の第2類物質に指定するとともに、特別管理物質にも指定し、作業記録の作成、健康診断結果等の記録の保存期間の延長、有害性等の掲示等の措置を義務付けることにより、労働者の健康障害防止を図ることとなりました。
平成25年1月1日の改正によりエチルベンゼンが、平成25年10月1日の改正により1, 2-ジクロロプロパンが、それぞれ特定化学物質に指定されました。また、平成26年11月1日施行の改正により「クロロホルムほか9物質」が特定化学物質に加えられた際に、名称も従来の「エチルベンゼン等」から「特別有機溶剤等」に改められました。

Q234.

「特別有機溶剤等」は、どのように管理されるのでしょうか。

A234.

・規制の対象となる業務はクロロホルム等有機溶剤業務、エチルベンゼン塗装業務、1, 2 -ジクロロプロパン洗浄・払拭業務で、これらを総称して「特別有機溶剤業務」といいます。

・使用する製剤の物質含有量によって、概ね以下のような規制が適用されます。個々の製剤につきましては、行政機関等にお問い合わせください。
① 特別有機溶剤の含有量が重量の1%超 : 発がん性に着目し、他の特定化学物質と同様の規制(発散抑制措置、呼吸保護具等については有機則の規定を準用)
② 特別有機溶剤の含有量が重量の1%以下、かつ特別有機溶剤と有機則の有機溶剤の合計が重量の5%超 : 有機則の有機溶剤と同様の規制
③ 特別有機溶剤の含有量が重量の1%以下、かつ特別有機溶剤と有機則の有機溶剤の合計が重量の5%以下 : 適用なし

・ 特別有機溶剤業務を行う作業場では、「有機溶剤作業主任者技能講習」の修了者から「特定化学物質作業主任者」を選任します(特定化学物質作業主任者技能講習を修了している必要はありません)。

参考:厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/

Q235.

エチレンオキシドは検知管による作業環境測定が認められている物質なので、エチレンオキシド検知管No.163LLを用いて作業環境測定を行うことを計画しています。検知管の仕様を確認すると測定時間は8分となっており、作業環境測定基準で定められたA測定(気中平均濃度の測定)の採取時間「10分間以上の継続した時間」を満たしていませんが、使用できるのでしょうか。

A235.

検知管No.163LLの測定時間は10分未満ですが、作業環境中に検知管の読み値に影響を及ぼす妨害物質がない等の場合には検知管を使用することが可能です。
作業環境測定基準及び関連の通達*にて、機器分析の直接捕集等の方法による採取や検知管の使用に伴い、それらの原理的な制約により10分間の測定や採取ができない場合には、採取時間を10分未満にすることが可能であると規定されています。したがいまして、検知管No.163LLはA測定に使用することができます。
なお、No.163LLを始め、手動式ガス採取器を併用し、1測定当たりに複数回の吸引操作を要する検知管の場合、1測定中の1回の吸引終了時に、次の吸引まで時間を空けると正しい測定値を得ることができませんので、1回の吸引が終了したら直ちに次の吸引を行います。
*昭和57年6月14日、基発第412号、都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達

有機溶剤中毒予防規則関係

Q236.

人体に有害な物質として、法令等により規定されている有機溶剤とはどのようなものでしょうか。

A236.

一般的には、常温で液体の有機化合物を有機溶剤と定義しています。
有機溶剤は、蒸発が速やかな点と脂肪を溶解する性質を有していることにより、ガスの形で呼吸器から体内に侵入するほか、皮膚を通して体内に侵入するものもあります。
有機溶剤による急性中毒では麻酔の症状が現れることが多く、慢性中毒では神経系、造血臓器、肝臓、腎臓などを障害するものがあります。
有機溶剤による中毒を予防する目的から、労働安全衛生法に基づく省令として、有機溶剤中毒予防規則が定められています。この規則では、人体に対する有害性の程度から3群に分けられ、最も有害なものとしてクロロホルムなど7物質の第1種有機溶剤、次にアセトンなど40物質の第2種有機溶剤、そしてガソリンなど7物質の第3種有機溶剤に区分されています。
規則の内容は、局所排気装置の設置、作業主任者の選任、一定の作業に係わる管理、作業環境測定(第1種有機溶剤、第2種有機溶剤が対象)、健康診断、保護具の使用などが規定されていますが、規則の適用外の有機溶剤も数多く使用されており、これらのものが有害でないということではありません。日常的な衛生管理の中で規則に準じて対処していく必要があります。

Q237.

有機溶剤の作業環境測定は、どのような測定方法が規定されていますか。

A237.

前号で紹介しました特定化学物質と同様に、厚生労働大臣の指定する作業環境測定基準に基づき、個々の物質ごとに捕集方法や測定方法(ガスクロマトグラフ分析法、吸光光度分析法またはこれと同等以上の性能を有する分析方法)が定められています。
アセトンをはじめとする24の物質については、当該物質以外のものが測定値に影響を及ぼすおそれのない場合は、検知管方式による測定機器を用いる方法によることができます。
また、規定された有機溶剤(第1種有機溶剤、第2種有機溶剤)を取り扱う作業場は指定作業場ですので、労働安全衛生法第65条に基づいた作業環境測定を行う場合は、作業環境測定士または作業環境測定機関が行わなければなりません。

Q238.

〈検知管による混合有機溶剤の作業環境測定編〉
塗料の吹き付けを行っている屋内作業場の作業環境測定に、検知管を使用することは可能でしょうか。
塗料メーカの資料によれば、塗料中の溶剤(シンナー)には、トルエンを主成分として、キシレン、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどが含まれております。(A社 有機溶剤作業主任者)

A238.

作業環境測定基準(厚生労働省告示)では、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、酢酸イソブチルを含め、24種の有機溶剤については検知管により作業環境測定を行うことが認められていますが、共存する他ガスの影響を受けないことと条件が付けられています。
したがって、シンナーのような混合有機溶剤について、個々の成分の作業環境測定を告示に基づく方法として、検知管により行うことは適当ではありません。また、トルエン等の第2種有機溶剤を取り扱う屋内作業場は指定作業場ですので、法で規定する作業環境測定は、検知管による測定であっても、作業環境測定士が行うこととなっています。しかし、衛生管理者や作業主任者等の方が発生源の管理やスクリーニングの手法として、自主管理のために行う測定は、特別な条件はありません。誰にでも測定でき、その場で直ちに測定結果が得られる検知管等の簡易測定法が有効です。
シンナーの濃度を検知管で測定し、作業環境の改善等に活用する場合、その主成分であるトルエンの検知管を使用し、トルエン検知管の濃度指示値を指標として相対的な管理を行います。
①測定した結果、トルエンの濃度(検知管指示値)が管理濃度(50ppm)をはるかに超えている場合は、作業環境管理が適切でなく、改善の必要があると判断します。
②トルエンの濃度が管理濃度をはるかに下回っている場合は、作業環境管理は適切であり、引き続きこの状態を維持するように努めます。
③トルエンの濃度が管理濃度前後の場合は、作業環境管理になお改善の余地があると判断し、常に管理濃度以下の状態を保つように努めます。

酸素欠乏症等防止規則関係

Q239.

硫化水素の管理濃度が10ppmから5ppmに改訂されたと聞きました。
これにより、第2種酸素欠乏危険場所における硫化水素濃度の測定を行った場合、管理する値をこれまでの10ppmから5ppmに変更する必要があるのでしょうか。
また、もし必要ないのであれば、根拠となる条文等についても教えてください。
(K株式会社 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者)

A239.

「管理濃度」とは、作業環境測定基準(厚生労働省告示)に従って実施した作業環境測定の結果から、当該単位作業場所の作業環境の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標として定められたもので、作業環境評価基準(厚生労働省告示)の別表に、物の種類ごと(現在では、83種の物質)について、それぞれ管理濃度が定められています。
作業環境評価基準第1条では、「この告示は、労働安全衛生法第65条第1項の作業場のうち、労働安全衛生法施行令第21条第1号、第7号、第8号及び第10号に掲げるものについて適用する。」と規定されています。
すなわち、労働安全衛生法施行令第21条第9号の作業場(酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場)は、適用外ということになります。
したがって、第2種酸素欠乏危険場所における硫化水素濃度の測定を行った場合、これまでと同様に、酸素欠乏症等防止規則第2条の定義に記されているとおり、空気中の硫化水素の濃度が100万分の10(10ppm)を超える状態を酸素欠乏等として判定してください。
ちなみに、労働安全衛生法施行令第21条第1号は土石、岩石、鉱物、金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場、第7号は第1類若しくは第2類の特定化学物質を製造し、または取り扱う屋内作業場、第8号は粉状または溶融鉛を取り扱う屋内作業場、第10号は有機溶剤を製造し、または取り扱う屋内作業場のことです。
このたびの改訂は、労働安全衛生法施行令第21条第7号で規定する第2類の特定化学物質に指定されている硫化水素についての管理濃度が対象となっています。

Q240.

酸素欠乏危険場所における作業環境測定編

酸素欠乏危険場所における酸素と硫化水素の濃度を測定する場合において、留意しなければならない点を 教えてください。
また、根拠となる規則等の条文がありましたら教えてください。
(株式会社F 衛生管理者)

A240.

酸素欠乏症等の事故を防止するためには、作業場所の酸素と硫化水素の濃度を測定し、安全を確保することが最も重要です。
あたりまえのことですが、測定にあたっては、適切な測定器を正しく操作し、適切な方法で測定することです。
以下に、主として規則等で規定されている留意すべき点を列挙します。

  1. 測定は選任された作業主任者が行います。
    測定は「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習」を修了した者のうちから選任された「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」が行います(酸素欠乏症等防止規則(以下、酸欠則という)第11条)。
  2. 測定はその日の作業を開始する前に行います。
    測定は「その日の作業を開始する前」に行います(酸欠則第3条)。 また、交代勤務等で作業者が入れ替わり、再び作業を開始する前および作業中に作業者の身体、換気装置等に異常があった場合も測定しなければなりません(酸欠則第11条第2項第2号)。
    測定した結果は所定の事項を記録し、安全衛生上の資料として3年間保存します(酸欠則第3条第2項)。
  3. 測定は作業環境測定基準(厚生労働省告示)にしたがって行います。
    ①測定点は、適当な位置に5以上とします。
    ②酸素濃度の測定は、酸素計又は検知管、硫化水素濃度の測定は、硫化水素検知管を用いて行います(作業環境測定基準第12条)。
    又は、これらと同等以上の性能を有する測定機器を用いて行うこととなっています。硫化水素検知管と同等以上の性能を有する測定機器としては、硫化水素計がありますが、日本工業規格(JIST8205硫化水素計)に定める規格に適合するものであることが必要です。
    同様に、酸素計についても、日本工業規格(JIST8201酸素計)に定める規格に適合するものを選定してください。
    なお、硫化水素計を用いる場合は、必ず定期的(1ケ月に1度程度)に、標準ガスによる感度校正(スパン調整)を行ってください。
  4. 測定者は、自身の安全を確保することに留意します。
    ①測定者は、保護具の装着なしに、測定しようとする箇所に「体の乗り入れ」、「立ち入り」などをしてはいけません。 この保護具には、空気呼吸器、酸素呼吸器、送気マスクなどがあります。また、転落のおそれのある場合には、安全帯および命綱を着用します。
    ②測定者は、必ず一人以上の補助者の監視のもとに測定を行わなければなりません(酸欠則第13条)。
Q241.

酸素欠乏危険場所で使用する酸素および硫化水素測定器の選定について

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を受講し、作業主任者の資格を取得しました。 酸素欠乏症等防止規則にしたがって酸素および硫化水素濃度を測定する場合の留意事項については、ガステックニュース56号 で紹介されていましたが、新たに測定器を準備する場合、どのような測定器を選べばよいでしょうか。 地下の配管工事・メンテナンス等の仕事をしています。(D株式会社 酸素欠乏危険作業主任者) 

A241.

作業環境測定基準(厚生労働省告示)では、酸素欠乏危険場所における酸素濃度の測定は、酸素計又は検知管、硫化水素濃度の測 定は、硫化水素検知管又はこれらと同等以上の性能を有する測定機器を用いて行うことと規定されています。 おそらく講習会においては、酸素計(酸素濃度の測定)と検知管(硫化水素濃度の測定)を使用して実技の試験を受けられたと思い ますが、硫化水素検知管と同等以上の性能を有する測定機器としては、硫化水素計があります。 いずれも、日本工業規格(JIS T 8201酸素計、JIS T 8204 検知管式硫化水素測定器、JIS T 8205 硫化水素計)で性能等詳細につ いて規定されています。当然、JISに定める規格に適合するものを選定することが必要となります。  その他、規則等では規定されていませんが、酸素計および硫化水素計を選定する場合は、以下に留意して検討されることをお勧めいたします。

  1. なるべく、防爆構造のものを選んでください。安心してお使いいただけます。
  2. 延長測定が可能で警報(ランプ、ブザー等)機能を有した構造のものが酸欠事故防止に、より有効です。
  3. センサ交換、バッテリー交換等が容易にできるものが便利です。
  4. VOL.56でも記しましたが、硫化水素計を使用する場合は、定期的(一ヶ月に1度程度)に校正用ガスによる感度校正が必要です。容易にガス校正が可能な構造で、校正用のキット等が完備しているものを選んでください。

携帯形酸素濃度指示警報計 GOA-6H(本質安全防爆構造)

携帯形酸素濃度指示警報計
GOA-6H(本質安全防爆構造)

検知管の廃棄について

Q242.

検知管の廃棄方法を教えてください。(検知管廃棄方法一覧表)

A242.

検知管は未使用・使用済みのいずれの場合も、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法/廃掃法)」にしたがい、事業活動に伴う廃棄であれば、産業廃棄物の「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」、それ以外の場合は一般廃棄物の家庭廃棄物として廃棄します。
ただし、一部の検知管には、廃棄物処理法で掲げられている物質のうち、無機水銀、鉛、六価クロム、セレンのいずれかを含有するものがあります。これらの含有の有無を、検知管の取扱説明書、または以下の検知管廃棄方法一覧表にて確認します。

センサの廃棄について

Q243.

酸素、一酸化炭素、硫化水素、可燃性ガスの各センサの廃棄方法を教えてください。

A243.

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(別名:廃棄物処理法あるいは廃掃法)にしたがい、事業活動に伴うものであれば産業廃棄物、事業活動を伴わない場合は、家庭系一般廃棄物として廃棄します。ただし、センサの検知方式によって、酸性またはアルカリ性の電解液が含まれるもの、廃棄物処理法に掲げられている重金属の鉛が含有しているものがあるため、これらの含有の有無を廃棄物処理業者等に伝え、廃棄を依頼します。

・酸素センサ(ガルバニ電池式)
アルカリ性または酸性電解液*、および重金属の鉛が含まれております。これらが含まれている旨、産業廃棄物処理業者または自治体に伝え、適切な処理を依頼します。
*詳しくはお問合せください

・一酸化炭素センサ、硫化水素センサ(定電位電解式)
酸性電解液が含まれております。これが含まれている旨、産業廃棄物処理業者または自治体に伝え、適切な処理を依頼します。

・可燃性ガスセンサ(接触燃焼式)
酸性ならびにアルカリ性電解液はどちらも含まれておりません。その旨を産業廃棄物処理業者に伝え廃棄を依頼するか、自治体の分別方法にしたがい廃棄します。

パーミエーションチューブの廃棄について

Q244.

パーミエーションチューブはどのように廃棄すればよいでしょうか?

A244.

局所排気装置内でパーミエーションチューブの中身を揮発させ、完全に空にしてから廃棄します。
具体的には、パーミエーションチューブ(以下P-tube)をP-tube保存容器に入れ、中間容器から吸着剤の中身を取り出して、保存容器の口元まで入れ、栓をします。P-tube内液化ガスがなくなるまで室温に保管します。ガスは容器内吸着剤に吸着されます。
液化ガスがなくなった管はプラスチック廃材として処理してください。
容器内の吸着剤についても適切に廃棄してください。

その他

Q245.

「君津式表層汚染調査法」の由来について

ガステックでは、ボーリングバー、検知管を使用した土壌汚染(土壌ガス)の調査システムを「君津式表層汚染調査法」と称していますが、その名の由来などありましたら教えてください。(A環境株式会社 分析部) 

A245.

まず、本手法は当社が開発したオリジナルな技術ではありません。1980年代の後半、千葉県君津市におけるトリクロロエチレンによる大規模な地下水汚染現場での調査の過程から生まれてきたもので、千葉県水質保全研究所(当時)の楡井久博士(現、茨城大学名誉教授、NPO法人 日本地質汚染審査機構理事長)、君津市環境部(当時)の鈴木喜計氏(現、君津システム株式会社 社長)らによって開発された手法です。
原著論文としては、「有機塩素化合物による地質汚染簡易調査法」(『公害と対策』1989年12月号 鈴木、楡井他)がありますが、その中では「君津式表層汚染簡易調査法」として紹介されています。また、その後当社も両先生らと協力して、本手法の改良と普及に携わるようになり、日本地質学会主催の第1回環境地質学シンポジウム(1991年)においては、「地下空気汚染と君津式表層汚染調査法」(鈴木、楡井、松延(当社技術部)他)として発表を行っております。
以後、本手法は有機塩素化合物による地質(土壌)汚染の必須の調査方法として全国に普及し、今日に至っておりますが、当社としましては上記の歴史を踏まえ、一貫して「君津式表層汚染調査法」と表現しております。
なお、たまたま当時、ボーリングバーと当社検知管を用いた方法でスタートしましたので、ボーリングバー・検知管方式と使用器具が限定しているかのように捉えられていますが、何らかの方法で窄孔(一定の深度で)し、他の検出器(PIDモニタ、簡易GCなど)を使用して調査を行っている事例も多く、これらもすべて広義の意味での「君津式表層汚染調査法」と呼ぶべきものと考えています。

Q246.

発煙管No.501を使ってクリーンルーム内の気流を確認しようと思います。どの様な点に注意する必要がありますか。

A246.

発煙管から出る白煙は刺激性・腐食性を持ったガスと粒子の混合物であるため、まずは風上に立って操作し、白煙を吸い込まないように十分に注意します。その上で白煙が皮膚や衣服に触れないように注意します。次に、製品・部品や実験機器等に白煙が触れないように、ダクトやクリーンベンチ等の吸い込み口までの気流の経路上に、これらの物品をできるだけ置かないようにします。
発煙管には塩化スズ(Ⅳ)(SnCl4)が含まれており、これが空気中の水分と反応して塩化水素(HCl)と酸化スズ(Ⅳ)(SnO2)が生成し、白煙となって放出されます。万一、白煙を大量に吸ってしまった場合は、直ちにうがいをした後、医師の診断を受けます。目に入った場合は、直ちに多量の水で15分間以上洗い流して速やかに眼科医の診断を受け、皮膚に触れた場合は、直ちに多量の水で洗い流します。なお、白煙が機器等に触れた場合、触れた部分を雑巾等で拭き取ることをお勧めいたします。
発煙には空気中の水分が必要になるため、乾燥した環境では発煙しづらいことがあります。また、繰り返し使用するために使用後に一時保管する際、そのまま放置すると発煙管内部で白煙が固化して目詰まりするため、発煙管の両端に付属のキャップをして保管します。

Q247.

活性炭チューブを用いてメタノールを捕集する場合、どの型式を使用したら良いですか?

A247.

充填量が多い活性炭チューブNo.258A-20がお薦めです。
活性炭管の場合、無極性有機溶剤に対して吸着力があり、反対の性質を有するメタノールの場合、吸着力が小さく破過時間が短くなります。このため、破過を防ぐために充填量の多いチューブを使用する必要があります。1層目に400mg、2層目に200mgの活性炭が充填された上記のNo.258A-20では、N,N-ジメチルホルムアミドにより脱着した場合、90%以上の脱着率を示すことが分かっております。

Q248.

校正証明書・試験成績書(試験報告書)とはどういうものですか?

A248.

校正証明書とは当社製品の検査(型式・ロット番号毎)で使用する各種計測機器類(体積計・温度計・天秤など)の校正情報(管理記録)を記載したものです。
試験成績書(試験報告書)とは製品の検査結果(精度など)を記載したものです。

サンプルイメージ